組織にまつわる数字の話~組織力発揮のポイントを「数字」から探る~

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2018年02月01日

■ 組織が100名を超えたときの変化

組織を考えるときに気になる数字があります。それは1、2、7、10、100です。これは何を表しているのでしょうか。

人事コンサルタント経験にもとづく感覚値ですが、人事制度の導入や改定を考えている会社や組織は、100名を超える規模が多いと思われます。会社単位だけではなく、事業部組織でも100名を超えると同様の傾向が見られます。組織体制、評価・給与、そして能力開発に関する仕組みの見直しに取り組む動きです。創業からの年数よりも、規模感の方が影響しているといえるでしょう。

組織化が進むということは、役割を分担して相乗効果で成果を出していくことです。1人より2人で分担して得意なことに取り組むほうが、効率も上がります。それぞれが業務に熟練して経験が増すので、仕事がうまくすすみ質もよくなります。そう考えると、できる限り組織の人数を増やしていくほうが、効率がよくなるはずです。しかし実際には100名を超える規模になると、仕組みと人材に関して問題を抱えることが多くなってきます。

少人数ではとくに意識しなくても問題なくコミュニケーションがとれてきたのに、ある規模を超えると情報もれによる業務遅延や、クレームやミスが発生してくるのです。人間関係によるトラブルが発生することもあります。さらには目の届かないところでコンプライアンス上の問題が生じて頭を抱えることがあります。従来の仕組みやノウハウでは機能しない状況が生まれやすくなるのです。

■ 機能する組織のサイズ

組織のサイズについては、人類学者のロビン・ダンバー氏の論が参考になります。人間が安定的な社会関係を維持できるとされる人数の上限を150名だと提唱しているのです。ダンバー氏は霊長類の脳の大きさと平均的な群れの大きさとの間に相関関係があることを見いだし、人間が円滑に関係性を保てる上限を示しました。機能する組織の限界や壁のヒントがありそうです。

150名までの集団は目の行き届く範囲で、緊密性や一体感を感じる仲間意識を高めることができます。万が一、対外的な危機が起こると、統一した行動をとれる単位です。一方、仲間意識がなくなると、各人の思いと集団の方向性の不一致が顕在しやすくなります。個別最適が必ずしも全体最適解ではないという状態が起こりやすくなるのです。

もちろん、組織体としては150人を超える規模はたくさんあります。組織化を工夫して、機能不全を突破できた組織が成長を果たしていきますが、停滞している組織も多くあります。規模が大きくなっても効率を悪くせずに組織活動をするときには、人数を150名程度までの範囲にとどめるか、分割をしていく必要が出てくるでしょう。事実、千名を超える大きな組織では、単一組織ではなく複数の組織が組み合わさっています。当たり前のように思いますが、これが組織を維持発展させる工夫といえます。

■ 機動的なチームと、シンプルに腹落ちする共通軸

人が管理できる数は、能力や、仕事のあり方によっても変わりますが、およそ10名だといわれます。10名を一括りの単位にして一人の管理監督者が率いれば、10名の管理者で100名の統一した集団が構成できます。100名程度だと氏名・仕事内容、特徴などもわかりあえる範囲です。

組織で仕事を進める基本は、100名すべてを同程度に考えるよりも、まずは10名の管理者を育てることで、100名が機能する形をつくることです。管理者10名が育てば、それぞれのチームを指導してくれます。つく組織を強くしていくためには、組織をつくる必要があります。100名を超えることが出来ない組織は、組織の核になる管理者を育てていないともいえるのです。

組織を束ねる方法で、人に働きかけるソフト面のものとして代表的なものが、経営理念や行動指針(クレド)の徹底です。共通の方向性を意識することで、バラバラな行動となりがちな非効率さを予防することになるのです。クレドというと、従業員一人ひとりがサービス提供に対して高い意識を持つホテル、リッツ・カールトンクレドなどが有名です。自分たちは何を目的として働いているのかと常に意識することが、一人ひとりのぶれのない行動を引き出します。

最後に残った数字・7の登場です。人が記憶し思い出せるのは、およそ7つのことだといいます。経営理念やクレドに示されるのも、最大7つまでが効果的なのかもしれません。人が多い組織になるほど、組織員の皆が納得、理解できるシンプルな表現が求められてきます。もちろん10や7という数が絶対というわけではありません。皆が腹落ちでき共通軸がシンプルに共有され、かつ機動的なチーム体制がとられていることが、組織力発揮のために整えるべきことではないでしょうか。

執筆:人事コンサルタント
廣岡 久生

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