女性活躍推進の流れで意識が高まる、働くステージと健康

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2018年02月01日

■キャリア構築の傍らで起こりがちな女性の健康課題

女性・男性それぞれに、世代ごとに起こりやすい健康課題があるのですが、特に女性は世代ごとに違う健康課題が訪れがちです。体の不調が影響し、思うように仕事ができず悩む人も見られます。しかし知識として知っておけば対処できることも少なくありません。それぞれ対策、予防法、治療法がありますし、本人も職場も納得する形で、その健康課題に見合った働き方を選んでいけるようになり、ひいては生産性のアップにもつながります。

当協会では長年、女性の健康支援を行っていますが、近年、企業から講演や相談などのご依頼を頂くことが増えました。持続的な働き方を推進するうえで、健康への取り組みの重要性が高まってきたからではないでしょうか。

女性の場合、世代別に次のような健康課題が起こり得ます。

20代・30代・40代前半の性成熟期の健康課題は、女性ホルモンに関係した女性特有の疾患がありPMS(月経前症候群)や子宮内膜症などが挙げられます。また、この世代はキャリア探索期・確定期とも重なり、いろいろと挑戦したいこの時期に、勤務を継続することが困難になったり、仕事に集中して取り組めなくなったりしてしまうことが起こっています。しかしいずれも対策や治療法を知っておけばキャリア構築と両立させられます。企業にとってもせっかく採用し、育てた人材を早期に失うことを避けることができます。この時期は出産・育児のライフイベントも重なる時期でもあり、仕事と育児との両立に直面する局面が何度も生じる可能性があります。

30代後半から40代のキャリアが構築されていく確定期には、出産後の変調が起きることもあります。復職で仕事も家庭も忙しさも増し、健康問題での不調は早く適切に対処していくことが望ましいでしょう。

40代・50代のキャリアが円熟する維持期には、体の変わり目といわれる更年期周辺期と重なってきます。特に多様な不調が生じることが多い時期ですが、あらかじめ知っておけば、振り回されずに過ごすことができます。管理職の任につく人も増えてきていますが、就任後に体の不調が起こり続けられなくなり降格を申し出る、あるいはキャリアを諦めてしまうというケースも多々見られます。

更年期は45歳~55歳の10年間を指し、その前後も不調を感じる場合もあり全快までの終わりの時期が見えないという認識があるかもしれませんが、たとえば代表的な治療法のホルモン補充療法(HRT)を取り入れると、速やかな改善も見込まれ必要期間も読むことができます。そのような知識を持って対処するだけで、体調が理由で辞めることなく個人にとってはキャリアの発展、職場にとっては人材活用が進められるようになるはずです。

当協会の調査では更年期の不調で辞めたいと思った人は60%にのぼっています。その中で実際に辞めてしまった人も4割近くいます。管理職としてまたはメンターとして、職場のロールモデルになっていく人たちが、健康問題でキャリアを中断することは残念ですし職場にとっても損失が大きいものです。より多くの人の理解が進めばと思って活動しています。

■働く女性からの電話相談

当協会では20年近くにわたり、全国からの電話相談を受けています。匿名でかけることができますので、率直な悩み相談が多く寄せられます。「今のこの不調はどうしてだろう」「こんな症状が出るけれども何科にいったらよいのか」というように、自分の不調の理由がよくわからないとの相談も良く見られる事例です。特に、体と心の変化が大きい40代50代の人からの電話が多くなっています。他には受診の相談、改善のための方策、付随した家族の問題、仕事との両立相談、介護と子育てなど、様々な心身の不調からくる相談が寄せられます。管理職になりたくないのに命じられた、職場の人間関係のストレスや重責を担う不安など、働く女性の悩みを聞くことも増えてきました。

男性も更年期がありますが、女性のみに生殖機能が停止する閉経という大きな転機があります。女性ホルモンに含まれるエストロゲンは、40歳代半ばから減って卵巣機能の停止する50歳あたりでほぼゼロになります。女性ホルモンは血管壁や骨、粘膜を守ったり、気分を朗らかにするなどの効能をもったりと、全身に作用しています。それがなくなってしまうことで不調が生じるのです。これは誰しも起こる体の必然的な変化で、男性に比べて落差が非常に激しいことが特徴です。

加齢に伴う課題は男女とも様々なものがあります。たとえば男性の方に多く起こる、老化現象やストレスから来る鬱気分などもありますが、注意すべきなのは、原因を知って治療を選んでいくことです。女性の更年期からくる鬱気分は婦人科領域ですが、加齢とストレスからくる鬱病は心療内科や精神神経科と、行き先が違ってきます。

このような話を、なかなか職場でできないという話もよく聞きます。職場横断プロジェクトでの取り組みや、相談窓口設置などの動きが増えていますが、一人で抱え込みすぎない環境づくりが大切です。当協会で行っている「女性の健康検定」を企業で活用する場合もあります。女性活躍推進メンバーが知識を高めたり共通言語で話せるという関心に加え、男性が女性メンバーへの理解を深めるために、セクハラにならずに女性の健康問題を聞けるようにといった関心で受けられる場合もあります。健康への取り組みが仕事を支える大事な一角だという認識が少しずつ高まってきていることを感じさせます。

女性自身が特有の健康課題を知り、上手にキャリア構築を行っていくことが広まると同時に、会社側・職場側も一定の正しい理解を持つことで、女性の登用や女性活躍のサポートをしやすくなります。社会全体で動きが進んでいくことが期待されます。

執筆:NPO法人女性の健康とメノポーズ協会 理事長 三羽 良枝

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