【セミナーレポート】2/10開催「MBAホルダーから学ぶ!キャリアアップデートの仕方」

ヒューマンアカデミービジネススクール(HABS)は、MBAプログラムを検討する方々を対象に修了生トークセッションセミナーを2018年2月10日に開催しました。ウェールズ大学のMBAプログラムを修了した修了生3名による体験談と、MBAプログラム担当教員である森本昌義の講話、そしてMBAホルダースタッフとのパネルディスカッションを通し、働きながら学ぶタイムマネジメントやキャリアアップデートの方法について模索しました。セミナーの模様をお届けします。


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登壇者

英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA(日本語)プログラム 修了生
飯田裕之氏 17期生(2010年入学)
上原秀教氏 21期生(2012年入学)
A氏 10期生(2006年入学)

講師
森本昌義 HABS MBAプログラム教員(CSR)

ファシリテーター 
山下允睦 HABS マネジャー


ウェールズ大MBAプログラムの魅力

はじめに、ファシリテーターを務めたHABS マネジャー 山下より、MBA取得における問題点の分析、および英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA(日本語)プログラム(以降、ウェールズ大MBAプログラム)の説明が行われました。

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ファシリテーターの山下は冒頭で、自身が米国ヘMBA留学をした経験をもとにして、MBA取得における問題点を3点挙げました。一点は時に年間1,200万円に及ぶこともある高額な学費、次にフルタイムMBAの場合キャリアがストップしてしまうこと、そして最後に留学先で求められる英語のハードルが、日本人にとってはかなり高いということです。こうした理由でMBA取得を諦めてしまう人も少なくはないのが現状だと指摘します。

しかし、「ウェールズ大MBAプログラムであれば、上記の問題点を解消した上でMBAを取得できる」と山下は続け、ウェールズ大MBAプログラムの学費は2年間で300万円程度であること、授業は土曜日のみであるためキャリアをストップさせる必要がなく、働き続けながら通えること、そして日本語で授業を行なっているため、英語が必要ないことがその理由です。


修了生によるMBA取得前〜取得後の体験談

続いて、ウェールズ大MBAプログラム修了生3名により、MBA取得までの経緯やプログラム受講中のエピソード、そして卒業後のキャリアについての体験談が語られました。

MBA取得後、取締役・COOにキャリアアップ

0210082.jpg17期生・飯田裕之氏 

最初に登壇したのは、17期生の飯田裕之氏です。理系の大学院を卒業後大手飲料メーカーの研究開発職として就職した飯田氏ですが、次第に会社のキャッシュフローやマーケティングの知識が研究にも必要であると感じるようになりました。30歳を前にして、ビジネスを体系立てて勉強したいという思いが強くなった飯田氏はMBA取得を決意。キャリアを積み上げていくプロセスを切りたくはなかったため、働きながら通えるMBAを検討します。そのなかで、授業が土曜日に行われる学校には多様なビジネスキャリアの人が集まるだろうという考えからウェールズ大MBAプログラムに興味をもったということです。

在学中は仕事に忙殺されながらも、平日も2〜3時間は学業の時間をもつように心がけたという飯田氏。修士論文のテーマをどのような内容にするかは、入学当初から意識していたと語ります。

修了後は様々な企業から声がかかるようになり、現在はエレクトロニクス関連のベンチャー企業で取締役・COOを務めています。業績も順調に上がってきており、さらなるキャリアアップを視野に入れていると話しました。

参加者に向け、飯田氏は「MBAにチャレンジしようと考えているかたは、『なぜMBAを取得するのか?』を明らかにしてください。この部分が明確であるほど、モチベーションが維持しやすくなります」とコメントし、講演を締めくくりました。

今までの自分を棚卸しし、起業というネクストステージへ

0210105.jpg21期生・上原秀教氏

次に登壇したのは、21期生の上原秀教氏です。上原氏がウェールズ大MBAに入学したきっかけは『通勤大学MBA』という書籍シリーズでした。産業ガス関連の企業で25年以上品質管理、コスト管理、マーケティング、新規事業立ち上げなど様々な業務経験を積み上げてきた上原氏は、書籍を読んで「ここに書かれていることはもう知っている。今まで自分がやってきたことじゃないか」と感じたと語ります。そして、自分が実務でやってきたことと、アカデミックな知識の答え合わせをしたいという想いから、ウェールズ大MBAプログラムに入学しました。

上原氏は入学して2年目に浜松へ転勤になり、新幹線で往復5時間かけて通うようになりました。「岩手から通っている同級生もいたので、浜松から通えないはずはない、と考えました。毎週50時間以上は勉強していたと思います」と上原氏は当時を振り返ります。「MBAの勉強を通して、ロジカルなビジネス思考が身につきました。自分の在籍していた会社への理解が深まったし、発想力も高まりました。でも、答え合わせが終わったら次の問題へ進みたくなってしまったのです」と語る上原氏は会社を早期退職し、コンサルティングの会社を立ち上げたと報告しました。

「卒業しても、新しい仲間の輪が広がっていくのがビジネススクールです。本日お越しになっている皆さんもぜひ私たちの仲間になっていただければ嬉しいです」と上原氏は呼びかけました。

包括的に経営を考えるための知識を得て、さらなる飛躍へ

10期生・A氏

最後に登壇したのは、10期生のA氏です。現在ウェールズ大MBAプログラムでM&Aマネジメントの授業を受け持つ講師でもあるA氏は元々ファイナンスや経営戦略が専門でした。今後は自分の専門ではない意思決定論や統計学なども包括的に検証しながら、経営にとって必要なことを検討するような仕事をしていきたいと希望してウェールズ大MBAプログラムに入学しました。公共政策系の大学院とMBAのどちらへ進むかも検討しましたが、イギリス系MBAの、理論を積み上げて最後に全体像をみるというやり方が自分の希望と合致したのが決め手だったとのことです。

A氏は、グループワークをすることでタイムマネジメント力、ファシリテーション力、コミュニケーション力がついたと振り返ります。「知識を人に説明することの難しさを実感しました。グループワークは自分一人で進めようとすると、非常に独りよがりな結果になります。クラスメイトと言いたいことを言い合い、その中で自分の意見がどれだけ伝わるかを試しながら進めていくのが非常に重要なのです」とA氏は語ります。

MBA取得後も同じシンクタンクで働き続けているA氏にとって、MBA取得は昇格にも良い影響があったほか、対外的な委員や役員を務める際も、MBAの学位がバックグラウンドとして後押ししてくれているとのことでした。今後は研究を進め、博士号の取得を目指したいとA氏は抱負を語りました。

森本昌義による講話

0210168.jpgその後、ウェールズ大MBAプログラム CSR科目担当教員である森本より、講義にかける思いや現在の取り組みについての講話が行われました。

ウェールズ大MBAプログラムで教え始め、十年が経過したという森本。講師を始めたきっかけは、CSRの考え方を普及したいという思いからだったそうです。長くメーカーに勤めた後複数の企業の役員を歴任した森本は、ある時ウェールズ大MBAプログラムでCSRの授業が用意されていないことを知り、「これは大変だ」と感じたとのこと。今でこそCSRは日本でも注目されるようになりましたが、講義を始めた当初はまだ認知度が低かった、と森本は振り返ります。

「他のMBAコースと違うのは、経営者になりたい、トップになりたいと思う方へ向けて、『いい会社にしたい』と志す人を育てたいと思っているところです」と話す。今も世界の動向を掴むためイギリスやスペインなど様々な大学と交流をもち、自分のスタンダードをできるだけ上げ続けようと日々の研鑽を心がけているそうです。

パネルディスカッションと質疑応答

最後は山下をファシリテーターとして、修了生によるパネルディスカッションが行われました。研究テーマについて各人が紹介を行い、その後はセミナー参加者との質疑応答が交わされました。

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飯田氏

論文のテーマは実務の中での課題や問題意識からきていると語る飯田氏は、「自律性に起因する転職意思醸成メカニズムの解明」というタイトルで論文を執筆したことを発表しました。「優秀な人はキャリアアップして当然である」として今でこそポジティブに捉えられているジョブホッピングですが、一方で企業にとっては優秀な人の退職は大きなダメージであると飯田氏は指摘します。企業は長く勤めて企業に貢献し、内部昇進してほしいと考えるが、個人は転職してキャリアアップしたいと考える。個人と企業がこうした相容れない思いを抱えているというのは、どのような企業にもある問題ではないかというのです。飯田氏は「なぜ人は転職しようと思うのか」ということを問題意識として、論文を執筆しました。そのメカニズムを解明することで、企業は優秀な個人の転職を防ぐための施作が打てるということ、そして見えない将来的なリスクを抑えられるということが狙いだと説いています。

上原氏

「交渉術を軸とした営業フレームワーク」をテーマにした上原氏。もともとエンジニアとして会社に入り、12年間技術職として会社員生活を送っていたのですが営業へ異動になりました。始めの2年はほとんど何も売れず、その時、「技術的なことをあまり知らないのに上手に営業をしている同僚を見て、不思議だなと思っていた」と語る上原氏。その後自分なりに試行錯誤して成績は上がりましたが、会社が合併して全然違う営業スタイルを目の当たりにしたときに、一見すると全然違う営業スタイルでも、本質的なところでは通じるものがあるのでは、と考えたそうです。そこで営業のフレームワークの軸として交渉術が使えるのではないかと仮説を立て、実務で検証したところ成功したので、そのテーマで論文を執筆したと上原氏は経緯を説明しました。さらに、合併した企業文化やCSRについてももう少し掘り下げていきたいと今後の展望を語りました。

A氏

「論文テーマは民間の経営手法を公共セクターに使っていくというものです」と話したA氏。論文執筆当時から行政の非効率性は指摘されており、民間の経営手法をどう生かしていくかはA氏の勤務するシンクタンクでも大きなテーマだったそうです。個人的に競馬が好きだったので、北海道の地方競馬をどのように立て直すかということをプラクティカルに考察したかったと語るA氏ですが、実はこのテーマ選定は自身が過去に実務において別の地方競馬の再生プロジェクトに関わった経験に由来しているとのこと。「自分たちのやったことは間違っていたのか、間違っていなかったのかをもう一度アカデミックに検証したかった」と話すA氏は、過去に関わっていたプロジェクトではできなかった経営のフレームワークを使いながら論文を執筆したと説明しました。入学当初からこのテーマで論文を書くと決めていて、論文指導を依頼したい教授もほぼ決まっていたというA氏。在学中の個人課題も修士論文につながるような題材で行なっていたとのことです。

パネルディスカッションの最後に山下氏は、ウェールズ大MBAプログラムでは修士論文執筆が必須であることにふれ、「私がアメリカでMBAを取得した際は、論文は書きませんでした。しかし、修了生の皆さんをみて、修士論文を執筆すれば学んだことを一つの結晶としてまとめられること、そして転職時にMBAという学位だけでなく、何を研究し、どんな成果物を残したのかを書けることは大きな強みだと感じました」と述べました。

質疑応答

Q:私は技術系の出身なので、財務や計量分析などの授業に不安があります。ついていけるものでしょうか。

飯田:おっしゃる通りで、必要最低限の知識はあるに越したことはないと思います。だからといって、授業について行けないとか、単位を落としてしまうということではないと感じています。

上原:だいたいクラスのグループの中に専門家がいるので、大丈夫です。仲間との補完関係で、十分身に付けることができると思います。

A:私は財務会計の専門家側ですが、グループのメンバーに説明をするのはこちらにとっても非常に有意義なことです。私も別の分野では、その分野が得意な人に質問をしていました。なぜMBAでは財務を知らなければいけないのかを理解し、どの部分を知っていればトップマネジメントとして会話ができるのか、勘所をつかめばよいと思います。

Q:MBAで学んだ中で、どの部分が具体的に役に立ったのか、エピソードを聞かせてください。

飯田:ヒューマンリソースマネジメントです。企業は人なりとよく言いますが、上に立つ人はどういった性質の人をどこに配置すると最大効率をあげられるかなど、「いい会社」の考え方を紹介してもらえてありがたかったです。

上原:組織行動論です。チームをどうやってマネジメントするかや、部下の使い方、そして上司の使い方も学びました。部下との関係づくりにも役立っています。

A:私の場合、知識を包括的に理解し、それをどのように表現するかというトレーニングができたことです。それからマクロ経済と、国際ビジネス法です。マクロ経済は車内の調査部門と協働する際に、国際ビジネス法は海外で仕事をするときに役立ちました。

山下:これまで600本ほどの修士論文が提出されましたが、実はその半分以上が「組織」をテーマとしたものです。日本人は組織について思うところがある人が多いのかなという印象です。

Q:みなさん勉強時間はかなり多いようでしたが、インプットとアウトプットの比率はどのくらいでしたか?

飯田:人によって科目ごとに得意不得意があると思いますが、私の場合統計学はもともと日常的に使っていて得意だったのでインプットはゼロで、周りに教える立場だったのでアウトプットが100でした。一方で苦手なものはインプットを100しても、10くらいしかアウトプットできないこともありました。苦手を潰すために何をインプットすべきか、そして得意な科目では授業でどうアウトプットして貢献するかを考えると、個人によってインプットとアウトプットの比率は変わってくると思います。

上原:私は割合で言うとインプットが7、アウトプットが3に欠けるくらいだったと思います。私の場合はすごく得意な科目もすごく苦手な科目もなかったので、科目による差がないのかもしれません。読むことが苦手でみんなの5倍くらい時間がかかるのに、全部読んで理解したいと言う気持ちが強かったので、電車の中でも喫茶店でもひたすら本を読んでいました。

A:私の場合は、なるべくアウトプットと時間が調整しづらい他の人とのグループワークに時間を割いていました。インプットの時間はあらかじめ枠を決めて、効率的なインプットの仕方を考えて実践していました。例えば、参考書は必ず目次を先に読んで、シラバスに対応しているところを洗い出して読んでいました。また、他の人たちは自分とポイントの異なる情報収拾をしているはずなので、グループワークはそういった意味でも重視していました。凝り性なのでアウトプットは時間をかけていましたが、知識を構造化してアウトプットする時間はよいトレーニングになったと思います。

森本:ぜひ、クラスをいいインプットの場にしてもらえればと思います。私は英語圏でも講義をすることが多いのですが、英語圏では1時間講義をするとなるとプラスして20〜30分の質疑応答の時間が必要です。しかし、日本では質疑応答の時間がほとんどいらないのが実情です。日本人はあまり質問をしません。講師の立場からすると、いい質問をしてほしいと思います。たとえトンチンカンな質問でもそれを修正することで理解が深まるのですから、臆せず質問をしてください。
また、新聞記事を見て「自分だったらどうしただろうか」と考えるのは、インプットもアウトプットもできるよい方法だと思います。

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未来の自分を想像し、これからのキャリアに思いを馳せるセミナー

3名の修了生が生き生きとMBAプログラムでの経験やキャリアの展望を語る会場は、静かな熱気に満ちていました。メモをとり、登壇者の発言に考え込む参加者の方々の姿からは、これからのキャリア形成へ向き合う意気込みが溢れ出てくるようでした。
質疑応答終了後の懇親会では、登壇者は参加者の方々への質問へ熱意をもって回答し、時には楽しいエピソードで会場を沸かせました。和やかな雰囲気で、セミナーは終了を迎えました。