現場の販売力を高めるデータマーケティングを

会社の業態:海外ブランドの輸入販売を全国展開
会社の規模:従業員1,000人以上
ご担当者:人事担当役員

世界的なラグジュアリーブランドを日本で販売しています。全国の百貨店に出店しているほか、都市部では路面店も展開。高級ブランドとしての地位を確立しています。なまじブランド力があるがゆえに、現場の危機感が乏しく「バーゲンで在庫を減らせばいい」という意識がありました。同じことを繰り返しているといずか沈んでいきます。店舗の創意工夫を生み出すべく、流通や小売の専門家に研修を依頼しました。

■課題・背景

ブランド力に頼らず、創意工夫で販売する力

外国人観光客が急増したおかげで全体の売上は伸びていますが、国内顧客の販売高は低迷しています。ブランド力に頼るのではなく、むしろその価値を高めるような販売の工夫ができないか、店長教育や店舗マネジメントは重要な課題でした。そんな状況で研修内容の検討していたとき、講師の先生からこう諭されました。「販売員の意識だけを変えようとしても、気合や精神論に陥ってしまいます。まずは事実を把握し、視覚化することで気付きが起こります」----。この指摘にははっとさせられました。

振り返ってみると、お客様の誰が何を購入されたかは、販売員一人ひとりの記憶に委ねられていました。特に百貨店の場合は、テナント単位でのデータ収集が難しいという壁があり販売日時、売上、アイテム、一部購入顧客の名前程度しか把握できていません。自社店舗では顧客名簿を作っていますが、キャンペーン情報を送信しても効果は検証しないなど、いわば"宝の持ち腐れ"状態に。閉店後の店舗ミーティングも対症療法にとどまり、ノウハウや経験の共有もうまくいっていませんでした。そこでデータ収集に基づいた店舗戦略を考えるワークショップを実施することにしたのです。

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■提案プロセス・実施施策

最初に行ったことは、店舗の「前」の顧客調査です。ショーウィンドウを眺めている人のうち、何人が入店し、競合店や類似店に入った人が何人いるのか......人の流れを細かく記録していきます。顧客というと売上に貢献してくれたお客様を想定しますが、本当は非顧客の方が圧倒的に多いのです。こうした潜在顧客の動きを把握し来店率を上げるとチャンスは広がります。また、普段は接点のない「店舗の外」の動線を追って競合店への人の流れなども見ていくことは、販売員にとって新鮮な発見をもたらしたようです。

店内でのお客様の動きも記録化していきます。あるアイテムに一直線に向かう目的買いのお客様もいれば、店内をあちこち見てからたくさんの品物を購入される方、友人や家族と相談してから購入を決める方など、行動パターンはさまざまです。これら店舗での滞在時間や同行者の属性などにどんな傾向があるのか、講師の先生を交えてそのパターンを分析していきます。

基本的には販売員が店頭でお客様にお声かけし、バックオフィスのメンバーが記録する形でデータを収集しました。映像システムなどの特別な機器は使っていません。販売員としての観察力を養う意味もありますし、場の雰囲気やお客様の表情など数字に現れないニュアンスを知っておくことは、実はデータを見る上で大きなヒントになるからです。機械的にデータを集めたのでは、こうした効果は得られなかったでしょう。「手作業でないものはシステム化すべきではない」という講師の方の指導の意味がわかった気がします。

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■成果

「滞在時間45分」を超えると、購入率が変化する

「なんとなくこうだろうな」と思っていた事象を「見える化」できたことは、店舗マネジメントに大きな効果をもたらしました。

例えば、滞在時間です。長い時間お店にいらしたお客様の購入率が高いことは従業員も肌で感じていましたが、具体的にどれだけ滞在すれば効果的なのかはあいまいでした。しかし、データを精査すると滞在時間が「45分」を超えると購入率が上昇することが明らかになったのです。これは接客おける一つの目標になりました。とはいえ、お客様を無理に引き止めては意味がありません。心地よくお過ごしいただくことを意識して、店内にはカフェスペースを設置。近隣の店舗から在庫を取り寄せている間などにくつろいでいただく場所として、総合的なお客様満足度の向上にも役立っています。

このほかにも各店舗のショーウィンドウや店舗レイアウトの改善、携帯デバイスを使った在庫確認時間の短縮化などさまざまな工夫が生まれました。これらの取り組みは結果的に、インバウンド客の増加にも貢献しています。また、バックオフィスと販売員の連携も密になり、店舗ミーティングでも多くのアイデアが出るという好循環が生まれています。

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■参加者の声

女性副店長 入社14年 

販売員の中に、前向きに売ろうという意欲が出てきました。販売は人によって得手不得手があり、これまでは自分の得意なアイテムばかりを売ろうとしがちでした。しかしお客様のニーズや傾向という事実が見えてきたことで、売り方を工夫するのが面白くなってきたようです。不得手なアイテムでもアプローチしていこうという流れが感じられます。

■この事例で取り入れた研修メニュー

#顧客セグメント分析 #ワークサンプリング #ロールプレイング

■キーワード

#戦略 #マーケティング #流通 #店長育成 #ワークショップ

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