好奇心と修羅場~好奇心は賢さに勝る~

衆院選挙が終わり、新内閣が発足しました(2017年10月末時点)。方針の一つが人材育成です。人は何によって育つのでしょうか。お金があれば育つのでしょうか。確かに、お金があれば、私学や塾に通うことはできます。

「いろいろ考えなくちゃならなくなってきた。お金のこととか。ノルマとか。効率とか。エコとか。(中略)でも、それはゴールじゃない。それがすべてじゃない。いつだって、僕らを突き動かすのは、好奇心だ。好きなことをやるだけで、食ってはいけない。でも、好きなことをやらなかったら、人生はつまらない。面白いから、やる。」
ホンダの創業者、本田宗一郎の言葉です。勉強は常に必要です。しかし、勉強は目的ではありません。

ところで、「好奇心」はどのようにして育まれるのでしょうか。小さい頃、夢中になったものがあるとか、大自然のなかで昆虫や植物に触れながら不思議を体験したことなどが影響するのでしょうか。私が子どもの頃は遊びや遊び道具は友だちと一緒に自分たちでつくったものです。

物理学者の江崎玲於奈氏は、ノーベル賞を取るために、してはいけない5か条のなかで、「いつまでも初々しい感性と飽くなき好奇心を失ってはいけない。」と述べています。仮に賢さと好奇心が戦ったらどちらが勝つかと問われれば、後者ではないでしょうか。好奇心の種(たね)は誰にでもあります。それを育み、人を突き動かす"衝動"のようなものはどのようにして成長していくのでしょう。

米国の経営学者、ウォーレン・ベニスはリーダーシップ開発において、「人はリーダーに生まれつくのではなく、リーダーになるのだ」と指摘し、「厳しい経験・試練」、次に「学習意欲・適応力」があって、その結果、リーダーシップ能力が開発されるといいます。

多少飛躍するかもしれませんが、「修羅場」を選ぶ嗜好性は「好奇心」かもしれません。好奇心を育み、信念あるいは価値観へと変えていくのは、繰り返される修羅場ではないでしょうか。誰もがやりたがらない難題に真っ先に手を挙げる者が可能性を秘めているのも納得のいく話です。

再び、本田宗一郎の言葉を紹介します。「がんばっていれば、いつか報われる。持ち続ければ、夢はかなう。そんなのは幻想だ。たいてい、努力は報われない。(中略)それがどうした?スタートはそこからだ。(中略)新しいことをやれば、必ずしくじる。腹が立つ。だから、寝る時間、食う時間を惜しんで、何度でもやる。さあ、きのうまでの自分を超えろ。きのうまでのHondaを超えろ。負けるもんか。」

政府はどのような人材育成を考えているのでしょうか。私の師匠はかつてこう言いました。
「人は理解してもやったことがないものは、できないものだ。」
疑似体験でもいからやってみること。やってみようという好奇心が大事です。

社会において安定は大切で必要なことです。しかし、安定は変革の阻害要因にもなります。良い社会は何かと問われたら、それはチャンスの多い社会ではないでしょうか。そのチャンスを見出すのは好奇心であり、それを実現するには何度となく繰り返される修羅場が必要です。そのスレッショルド(閾値)を超えた者がリーダーとなるのではないでしょうか。

執筆者:宮川 雅明

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