人事制度を構成する3制度

人事制度の構築・再構築を複数社で支援させていただいている。人事制度には主要3制度というものがある。「キャリア制度」、「評価制度」、「報酬制度」である。議論はどうしても評価と報酬に傾く。

人は不満や疑問から入る。アンケートをとると、

"私の仕事ぶりを十分にみていない" 
"プロセスがブラックボックスだ" 

中には"評価者自体が信用できない"というものもある。

人事制度とは行動指針を示す道標になるもので評価尺度はそれを活用するという位置づけだ。報酬制度もしかりである。

キャリア制度というのは、どのようなキャリアを選択するかということで、多様性もその一つである。しかし、このキャリア制度の本質は、自分の仕事観、仕事をする上での源泉、重視する価値などを自問自答しながら記すものである。

先にあげた"私の仕事ぶりをみていない"というのは認知されていないという意識であり、報酬を求めているのではない。価値ある仕事をして相応に認めてもらいたいという欲求である。報酬や肩書が外的報酬であるのに対し、挑戦できる仕事、価値ある仕事への従事は内的報酬である。キャリア制度というのは、一人ひとりが長期的なキャリアビジョンを描くことで成立する。

報酬制度は、その責務や1年間の結果を報酬として評価するもので、会計でいえば損益計算書のようなものだ。対してキャリア制度は現在及び将来ありたい貸借対照表といえる。

評価制度は、キャリアと報酬の両方を導くもので、行動指針を示すものである。どのような役割を演じて欲しいかを示すもので、ポジションによって期待される行動様式は異なってくる。若い時は、とにかく技術や知識を習得し、多くの課題に対処できるようになってもらいたい。中堅クラスになれば、個人が何をしたいかというレベルから、チームや組織の使命や目的は何かを考えて行動するようになってもらいたい。経営層クラスになれば、会社の方向性、業界の在り方、国に対して何を成すべきかを考え行動してもらいたい。

いうなれば評価制度というのはアイデンティティを問うものである。技術の専門家も社会に役立つテーマを選択し、それが使命と感じるようになるものと思える。人事制度というのは、キャリア制度、評価制度、報酬制度の3つのバランスがとれた状態で、調和している必要がある。

さて、"私の仕事ぶりを十分にみていない"、これは基本的な問題である。

デール・カーネギーは人を動かす3原則の一つとして、「批判も非難もしない。苦情も言わない。相手を理解するよう努めることで、同情や寛容、好意が生まれる。」といっている。

相手を理解することに努めるということは、普段からの対話が基本だということだ。評価の時期になって、「さあ今年の結果はどうかな」という対話は有り得ない。

"プロセスがブラックボックスだ"というのは、結果云々ではなくプロセスや判断が見えないということだ。これも基本的な問題である。

組織のマネジメントというのはオープンでシスティマティックでないといけない。勿論、少数で戦略的な判断をする領域もある。組織全体を機能させていくという意味でいっている。オープンというのは、誰しもルールとその結果を知っている、知ることができる、トレースすることができるということだ。システィマティックというのは、そのルールが規律に基づいてシステムとして動いている状態だ。ルールや結果がオープンでも、そのルールが勝手に変更され、或いは曲解されたのでは意味がない。

このオープンでシスティマティックというのはマネジメントの基本であるから、コーポレートガバナンスの基本でもある。

貴方の会社・組織の人事制度は組織や個人を成長させるものだろうか。単に最高益が出ましたというのは、報酬の側面でしかなく(勿論、最高益を出すことは喜ばしいことである)、内的報酬を語っているものではない。

真の成功というのは、優れた人格を有すること、つまり人格主義であるとすれば、人事制度はそのための歩みかたを示すものでなければならない。

執筆:宮川 雅明

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