信頼~WAYが生み出す普遍的価値観~

エデルマン・トラストバロメーター2018が発表された。未来の変化の根底にある2つの調整要因(moderator)は「信頼」と「プライバシー」だという。

私はある社団法人の理事を務めている。任意団体として数年間の活動を経て社団法人化したのであるが、その時のコアvalueが信頼性マーケティングである。これからの社会経済は、信頼性が中心価値になると想定したからである。偶然ではあるがトラストバロメーターのキーワードと一致したことで、(いつものことであるが)勝手な確証を得た。

今、ニュースといえばワールドカップであるが、経営・経済の分野に目を向けてみると、気になのはリスクに溢れているということだ。経営の一つの方向性としてGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)という用語がある。この3つがセットになること自体、世情が複雑化しているといえる。国内ではコンプライアンスや忖度などの話題が多いが、世界的には安全保障・関税・M&A(買収を認めない)が絡み合っている。また、ブロックチェーンをベースに仮想通貨は国境を越え一般化しつつある。そして、マイクロソフトによるギットハブ買収で話題になったオープンソース、オープンイノベーションの世界(新たなコミュニティ)は成長を続けている。一見バラバラなことをいっているようであるが、これが「信頼」というキーワードに集約される。

エデルマン・トラストバロメーターでは、国家、機関そして制度に対する信頼が低下していることを指摘しており、それが未来を変えていくと予測している。日本でいえば、度重なる品質不良やデータ改ざんなどによりいわゆる日本株式会社への信頼は国際的にも大きく低下している。世界的にも2008年のリーマンショック以降、欧米6大手銀行による外国為替レートの不正操作、データハッキング、共産党収賄、移民受け入れ制限や拒否、そして関税戦争などあらゆる制度や機関の信頼度が低下している。ちなみに、リーダーシップ論では社会が不安になるとカリスマ的リーダーが現れるとされる。

世の中が不安になると何が起こるか。人は新たな枠組み、信頼できる枠組みを欲することになる。ネットの世界では国家の枠を超え新たなコミュニティが出来つつある。オープンソースは技術者の社会を構成している。

では信頼に求められるものは何だろう。信用ではない。信用は過去に対するもので、信頼は未来に対する感性だ。"当社の製品やサービスは信頼できます、安心です。"ということではない。モノや技術仕様ではなく、見た目のサービスでもない。その根底にある思想や行動様式を生み出している普遍的価値が鍵なのだ。何故、高価でもアップル製品を買うかというと、「ジョブスが好きだから」という要素が入っているのではないだろうか。ジョブスのスタイルやwayに共感しているのである。かつてその世界的な役はソニーであった。仮に日本が世界に対して信頼を取り戻すとすれば、その鍵はイノベーションにある。生活様式を斬新に変え、新たな経験や可能性を生み出し続けることにある。その根底にある普遍的な独創性や価値が人々に好かれるものであれば、多少の失敗も応援と次への期待に変わるだろう。信頼というのはそういうものではないか。

2020年には様々なサプライズがあると思うが、単に斬新ということではなく、そこの根底にある普遍的価値観が見られていると考えるべきだ。ラストチャンスかもしれない。

執筆:宮川 雅明

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