正しい目標管理(2) マネジメントサイクルと業績評価

■マネジメントサイクルとは?

マネジメントサイクルとは、「PLAN・DO・SEE」のことだというのはご存じだと思います。様々な研修で取り上げられているのですが、「マネジメントサイクルとは何か」を本当に理解している人は少なく、本来のPMSになっていないことが多いよう見受けます。つまり、「今期は、こんなことに取り組もう」と計画(PLAN)し、次に「それをやってみよう」というのが実行(DO)で、最後に、「どれだけそれに取り組んだか」ということで評価する(SEE)というやり方です。そして、その評価結果は、処遇に結び付くわけではなく、現場のマネジメントとは切り離された、独自の「評価制度」に基づいて評価結果が生み出されるという場合が多いようです。

以上に対して、グローバルスタンダードのマネジメントサイクルとは、次の通りです。計画で考えるのは、「今期末、どのような成果が出ていればよいのか」という成果イメージ(PLAN)です。その成果イメージを達成するには何をしたらよいのかを考え、解決策を実施していくのが実行(DO)であり、既達段階でどのような成果が生み出されたのかを把握し、それが計画とどのような差異があるのかを判断するのが評価(SEE)です。そして、その評価結果に基づいて、処遇(REWARD)が決められていく、というのがグローバルスタンダードのマネジメントサイクルです。私が知る限り、これまでに出版されている目標管理関連の書籍でこのことをきちんと説明しているものはないように思います。

マネジメントサイクルの中で、最も大切なのが計画フェーズです。評価が正しくできるかどうかは最初に計画がどれくらいきちんと行われていたかどうかに関わってきます。ですから、計画フェーズで成果イメージをなるべく明確に設定することが大切です。この成果イメージで策定された計画が業績目標であり、この業績目標設定をどれくらい完全にできるかがマネジメントの基本なのです。しかし、この成果イメージを明確にするということはあまり行われていないため、できるようになるには、多少の時間が必要となります。

ここで、よくあるマネジメントサイクルの「何をやるか」とグローバルスタンダードの「成果イメージ」の違いの例を挙げましょう。たとえば、採用業務で「何をやるか」では、募集する人材の職種とその数や面接の進め方等を考えるのが通常でしょう。しかし、「成果イメージ」の場合は、採用業務を通じて「どういう人材を何人採用するか」を具体的に考えることになります。結果としてどんな違いが出てくるかといえば、「何をやるか」の場合も求める人材・人数の目標を設定することになりますが、「成果イメージ」の場合の方が目標がより具体的かつ明確に設定されます。したがって、「成果イメージ」で目標を設定した場合の方が目標が達成される確率が高くなります。これが目標設定理論であり、グローバルスタンダードの目標管理は科学的根拠に基づいているのです。

■仕事における業績評価とは?

二番目に、仕事における業績評価ということを取り上げたのは、態度や能力ではなく、あくまでも仕事における評価ということが重要だからです。確かに、成果には仕事を遂行している人の要素も大きく影響するものです。様々な態度や能力をもった人が行動することで成果を生み出していくというのが実態です。ただ、業績評価を行う際注目すべきなのは、設定された成果イメージに対して実際の成果がどれくらい完全に合致しているかということです。業績評価とは仕事における成果を評価するものであって、人の態度や能力は組織に貢献するための要素の一つに過ぎません。もし、これらの部分も評価対象に加えて給与に反映させたいのではあれば、業績評価ではなく、別の方法(例:能力評価)で評価するべきなのです。くどいようですが、業績評価というからには、「どれだけがんばったか」「どれくらい能力が高まったか」で評価しないように注意しなければなりません。

執筆:髙橋 宏誠

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