或るシンクタンクの予測にそればホワイトカラーの50%はAIに代替されるという。一方で、労働人口は40%減少(2065年)するといわれている。AIの浸透スピードのほうが速いと思われる。AI化によって得られる意思決定サポートは、自動運転をはじめとする社会インフラ、販売予測や適正生産といった生産性向上など、社会経済に大きな恩恵を与えてくれる。AIを支える技術環境とそのコストは低減しているので、企業の大小を問わず、AIは必然であり必要ということになる。ただ、移行期(または過渡期)には必ずひずみや痛みも伴う。

AIを活用したもののひとつとして、ロボティクスがある。RPA(Robotic Process Automation)は情報整理、EPA (Enhanced Process Automation)は分析、CA(Cognitive Automation)は意思決定といえ、EPAとCAはAI領域といえる。先ずはRPAである。定型的な業務はルールエンジンを設定し易いので、自動入力や受発注業務などは早期に全て自働化されるだろう。現在、こうした業務の多くはアウトソーシングや非正規雇用で対応している。ホワイトカラーの区分に入るが、殆どがRPA化される。EPAそしてCAの段階に入ると、コールセンターなどの判断を要する人的対応サービス業務も多くは自動化(無人化)されるだろう。

働き方改革において、主に議論となるのは、同一労働・同一賃金や残業といったもので、裁量労働者の議論は別のものとして考える必要がある。RPAになれば残業、福利厚生、有休、そしてストレスや教育も必要でなくなる。つまりホワイトカラーはほぼ無くなる。

人が行うものは知的創造的な領域であり、敢えて言葉を使い分けるなら、それはナレッジワーカーとなる。求められるのは創造性や高度なソリューションである。

ナレッジワーカーに求められるのは、知的内省、知的体力、知的好奇心である。知的内省は端的にいえば振り返りと自問自答である。答えをウェブで探すものではない。知的体力は考え抜く力である。例えば、分析(分解・図解・例解)を繰り返しながら、あるべき・ありたい姿(価値)を描き、課題と対策を導いていく。知的好奇心は生命力のようなものである。ただし、健全なアイデンティティが求められる。敢えていえば私的から公的な感性が欠かせない。

以前、オープンイノベーションについて言及したが、この3要素は共創に欠かせない能力である。EQが低い人が一人いるだけでチームの生産性やアウトレットのレベルが落ちることは実証されている。一人の天才という世界もあるかと思うが、ナレッジワーカーに求められるのは、集団天才であり、その要件として3要素は欠かせないものになるのではないか。ネットワークというのはネットがあってもそれらがワークしないとネットワークにはならない。刺激(インスパイ)し、醸成し合うものでなければならない。

変化してきたとはいえ、今の教育はまだまだ知識偏重であるように思える。また、協調性や多様性を重視しながらも、創造性を育むものではなく共依存なものを形成しかねない。社会全体としてナレッジワーカーの育成に真剣に向き合わなければならない。

執筆:宮川 雅明

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