正しい目標管理(5)グローバルスタンダードの目標管理の本質

■ グローバルスタンダードの目標管理の本質

グローバルスタンダードの目標管理は、日本企業で通常行われている目標管理とどのように違うのか、また、グローバルスタンダードの目標管理の基本的な考え方やメリットについて整理します。日本企業で言う業績目標とは区別するため、グローバルスタンダードの目標を「成果目標」と呼びます。

1)業績目標と成果目標の違い
グローバルスタンダードの目標管理は、日本企業で通常行われている目標管理とどのように異なるのか、具体的に見ていきます。

第一に、考え方です。業績目標の場合、「実際に何をしたか」が重要であるように思われます。そして、業績目標の場合、「本人がこんなことに取り組んでみたい」という視点が含まれる場合が多いように思います。一方、成果目標の場合は、「組織に対して何を生み出したか(貢献したか)」が重要です。そして、成果をもたらしたプロセスをみる場合は、本当に成果を出す方向で行動していたかという「行動特性(コンピテンシー)」を評価します。このコンピテンシーについては、後程説明します。

第二に、本質について考えます。業績目標の本質が何かについては、特段、説明されていないようです。成果目標の本質は、上司と部下の間での合意であり、設定が終わるとそれが公式の契約となります。日本企業の場合、設定された目標は契約だという認識はほとんどないように思いますが、いかがでしょう。

第三に、目標を設定するための基準です。業績目標の場合、各自の判断に任されているのが通常ではないでしょうか。成果目標の場合は、それぞれのポジションに期待され、あらかじめ規定された成果責任の中で設定されます。

最後に、目標管理にあたり、何か重視されているかです。業績目標の場合、フォーマットに適切に記入されているかどうかが重要視されているように思われます。成果目標の場合は、「成果目標」を使ってマネジメントそのものが実際に進められているかどうかを最も重視しています。
 
ここで、「グローバルスタンダードの目標管理」を簡潔にするため、『正しい目標管理(1) グローバルスタンダードの目標管理』で示したように、今後は、「PMS(パフォーマンス・マネジメント・システム:業績管理制度)」と呼ぶことにします。

PMSは、第一義的にはマネジメントのツールです。ここで、マネジメントとは、平たく言うと人に仕事をしてもらって成果を出すことをいいます。そして、マネジメントのツールだというのは、社員一人ひとりの仕事の成果を全社の業績に結びつけ、生産性向上を図るための手段であるという意味です。

PMSは、また、個人業績の評価ツールでもあります。成果主義の人事制度は、各人の会社業績への貢献度に見合う処遇を実現することをその目的の一つとしています。この貢献度を図るツールがPMSなのです。PMSは、一人ひとりが本年度達成すべき目標を期初に設定し、期末にはそれがどの程度果たされたかを客観的に評価します。これにより、会社業績への貢献度に見合った処遇が可能となるのです。

2)PMS導入のメリット
PMSを正しく理解し、適切に導入し場合、どんなメリットがあるでしょうか。

第一に、自ら目標を設定するので、部下の仕事に対する意欲と満足度が高まります。

第二に、上司との適切なコミュニケーションを通じて、仕事の質やスピードを高めるコツを理解することができ、それにより目標達成が容易になるため、部下は目標に執着して自発的に行動する習慣がつきます。

第三に、一人ひとりに仕事が任せられることで、各自が意欲的に仕事に取り組むことになり、組織全体の生産性が上がります。また、一人ひとりが自分を管理することで、最終的には、管理者の負担も減ることになります。

次回は、PMSの3つのステップを説明します。

執筆:髙橋 宏誠

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