人事制度の再構築を行っていて感じることはマネジメント能力の低下だ。人事制度に限らず組織マネジメントの根幹は、組織目標という共通言語とフィードバックである。

目的のないところにマネジメントはない。よって、目的及び目標を明確にしていく必要がある。ここでわくわく感が湧いてこないと実現は難しい。行動力の源泉は、戦略やPDCAではなくビジョンであるからである。この組織目標に求められるのはリーダーシップである。コンピタンスでいえば分析より構想力が求められる。

それに対し、フィードバックに求められるのは計画に対する評価と対策である。ここで求められるのは、リーダーシップよりマネジメントである。E.H.シャインはリーダーシップを「経営」と「執行」に分けている。前者は「文化の創造」で後者は「管理」である。拙著『ビジネスリーダー』でも述べているが、0→1の創業・起業型人材と、1を10にしていく執行型人材のタッグが必要ということだ。

しかし、この2つをミドル層に同時に期待している風潮がある。「差別化できるものを考えろ」「絶えず変化しろ」「チームの秩序と生産性を高めろ」「協力会社や外部社員を活用しろ」「業績を上げながら若手を育成しろ」等々である。これはWhatとHowの両方を求めており、かなり厳しい要求である。

H.ミンツバーグによれば5つのマインドセット(視座)が必要だと指摘している。内省、分析、広い視野、コラボレーション、行動である。

内省というのは経験がベースとなる。時を過ごすと経験は異なる。内省は自己変革の起点となる。内省のない行動には気づきはなく、学習がない。一貫性のない行動に変革など起こせない。

コラボレーションはオープン・イノベーションの時代にあって欠かせないスタイルであるが、これはリレーションシップ・マインドといえる。自分がリーダーとなってチームを引っ張るというのはコラボレーションとは言い難い(時には必要であるが)。マネジメントとは他者とともに働くことである。ミンツバーグの言葉を借りれば、「人と人との間に身を置き、目標に辿り着くまでずっと汗を流し続けられること」である。広い視座とは外部環境からの学びでありトランスナショナルである。

内省がなければ新たな変革は生まれない。世界観がなければ変化を理解し捉えることはできない。他者を受け入れる懐がなければコラボレーションはない。分析に基づいた行動及び試行錯誤がゴールを近づける。

事業の状態や組織特性によってリーダーシップが強く求められる時もあれば、マネジメントが求められる時もある。人は仕事を通じて育つ。組織によって状況は様々であるから、個人が将来目指す姿と事業の将来の姿を往復していくジェネラティビティが求めれれる。一人ひとりがアイデンティティを高めていく環境(組織文化)と育成(システム)が鍵となる。

『ビジネスリーダー コア人材の素養モデルと育成』
宮川 雅明
出版社:産能大出版部
言語:日本語
ISBN-10:4382056128
ISBN-13:978-4382056121
発売日:2009/9/20

執筆:宮川 雅明

一覧へ戻る

HABSとは

top