先日、信頼性蓄積理論に関しての講義をした。世間では、相変わらずデータ不正が話題になっている。何故、ビジネスの根幹をなす信頼性を壊すようなことを組織的に行うのだろうか。

共依存情動である。

自分が所属している組織において、仲間外れにされたくないから納得して従うのである。人は自分に最も巧妙な嘘をつく動物である。アイデンティティの9段階のレベルでいえば、3番目の人間関係にあたる。次のような情動である。

「共依存情動が強いので、チームの一員という感覚を得るために何でも喜んで行うことがある。」
「所属を優先するため、真実と創造性を犠牲にする。」
「同僚などの集団に対する忠誠心が、組織に対する忠誠心に勝ってしまう。」

社会より自己の利益を優先した結果である。

どうしたらよいのか。真のリーダーシップの下で仕事を学ぶことである。リーダーシップ論に信頼性蓄積理論というものがある。社会心理学者のE.P.ホランダーによれば、リーダーシップを発揮する正当性をフォロワーから得られるには、つまり信頼を獲得するのは、5つのステップがあるという。同調性、有能性、信頼の蓄積、変革への期待そして真の信頼性だ。

真の信頼を獲得するのは変革を起こすことである。それば修羅場といえる。外部環境の変化に先んじて対応するために内部を自律的に変革することである。障害者雇用データのごまかし、銀行の不正融資そして品質データ改ざんにおいて、トップ及び上司が毅然とした態度を示すことである。

ドラッカーはリーダーシップの中の「Earning Trust is a must」で次のように述べている。

It is a belief in integrity. A leader's action and a leader's professed beliefs must be congruent, or at least compatible. Effective leadership - and again this is very old wisdom - is not based on being clever; it is based primarily on being consistent.

Integrityは真摯さとでも訳そうか。真摯さへの確信である。また、次のようなことも述べている。

「頭の良さではなく、真摯さを大切にする。~この真摯さなる資質に欠ける者は、いかに人好きで、人助けがうまく、人づきあいがよく、有能で頭が良くとも、組織にとって危険であり、上司及び紳士として不適格である。」(『仕事の哲学』より)日本の権威に関わる者は紳士ではなく、自己及び所属する集団の利益のみを第一優先しているということを世に示していることになる。勿論、全てがそうだとは言わない。

不正を容認する上司は真の修羅場を経験していないのだろう。自らリスクを取る、挑戦をすることはしないのだろう。頻発するイシューを見続けるとそれが組織或いは社会文化になっているとさえ思える。私は、人は仕事を通じて育つ(仕事の定義もいろいろだと思うが)と思っている。今の日本の教育に必要なものはアイデンティティである。優秀さより真摯さである。

『仕事の哲学(ドラッカー名言集) 』
P・F・ドラッカー(著)
上田 惇生(翻訳)
出版社: ダイヤモンド社
言語: 日本語
ISBN-10: 9784478331033
ISBN-13: 978-4478331033
発売日: 2003/8/1

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