思考回数~出会いはギフト~

変革型リーダーシップの中に「実験の奨励」というのがある。先ずは行動する勇気である。しかし、この実験をするというのはなかなかできるものではない。ベンチャー理論においても先ずは小さく賭けなさい(small bits)、挑戦しなさいと説く。実験なので仮説の検証であるが、多くの人は結果がでないものはやろうとしない。そのようなビジネスはない。VUCA(Volatility:不安定さ、Uncertainty:不確実さ、Complexity:複雑さ、Ambiguity:曖昧さ)の時代においてはますますそうだ。

ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑氏には6Cという指針がある。 Curiosity、 Courage、 Challenge、 Confidence、 Concentration、そして Continuation=諦めずに挑戦し続けることである。

江崎玲於奈氏は創造性に関しこのようなことを述べている。
「テイストを磨くこと。つまり超一流に触れること。時々美味しいものを食べないと舌は肥えない。そして努力すること。努力とはトライ&エラーである。何度も繰り返すことが努力である。その結果、未知なるものと遭遇することができる。」

2014年にノーベル物理学賞を受賞した天野浩氏は1500回実験したという。仮に新発明や新規事業の確率が1%と仮定しよう。2回やれば1.99%になる。100回やれば64%になり459回やれば99%になる。要はそれだけ繰り返すことができるかどうかだ。

株式会社ユーグレナの創業者 南雲充氏は、イノベーションとは適切な化学技術×思考回数と断言する。2000以上ある大学発ベンチャーで唯一、一部上場をした会社である。今では、国連から貧困(栄養失調)救済の相談を受けていると聞く。南雲氏は栄養のバランスの欠如が栄養失調をもたらすことから、ミドリムシの研究開発をはじめ、18年を要した。そして、500社に営業を行い全てに断れた。理由は「聞いたことがない」ということである。実績がないものは却下される。ここに日本のベンチャーの本質的問題があると指摘する。

リスクを取らずして事業開発はない。「聞いたことがないから(こそ)やる」というマインドが欠かせない。オープンイノベーションのエコシステムで知られるCIC(Cambridge Innovation Center)は、日本に対して「全体として、日本はあまりにもリスクを避けすぎている。」と指摘している。

ちなみに、ミドリムシは501社目で伊藤忠が採用した。聞いたことがないからやる。これはwinner takes allのビジネスモデルだ。さて偉大なる発明は何故できたのか。思考回数、実験回数であるのだが、それを実現させたもの、行動の源泉は何だろうか。南雲氏は「かけがえのないもの」との出会い、「お守りのようなもの」、つまり、自分を変えた原点のようなもの、と私は理解しているのだが、が必要だと言っている。自分の行動の軸となる錨のようなものだ。簡単に答えを求めてはいけない。テーマや問いは自らつくり、答え=創造はギフトのように出会うものだ。繰り返しによって。

執筆:宮川 雅明

一覧へ戻る

HABSとは

top