マルチジョブ~多様な機会・柔軟な働き方~

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2018年05月22日

高度プロフェッショナル制度で与野党の攻防が続いている。残業時間の扱いが課題である。今は人手不足で売り手市場、よって残業が多いなどブラック的な組織では採用できない。サステナビリティという観点からも多様で従業員満足度の高い労働環境を提供しなければならない。少し視点を変えてると異なる景色が見えてくる。

厚労省の雇用者報酬データをみると、残業代(所定外)は6.2%を占める(2017年度)。金額にすると約17兆円である。残業規制による消費減少としての政府予測は5兆円程度である。残業代の約30%に相当する。平均消費性向(所得のうち消費に回す割合)を0.77(内閣府の推計式から引用)とすれば 、実質個人消費は3.9兆円程度(≒5兆円×0.77)減少することになる。好況の時は忙しくなるので残業は増える傾向にあるが、不況期でも残業は減らない。つまり生活残業になっている。残業代30%カットというのは死活問題になる。

2018年3月期決算をみると、世界的な景気の拡大を受け、上場企業の「稼ぐ力」は2年連続で過去最高を更新している。純利益の伸びは前期比35%増で約29.4兆円である。内部留保も潤沢でM&Aも盛んである。

では、景気の良さを実感しているかどうかというと、世論調査の結果では、景気回復を「実感している」と答えた人が2割、「実感していない」と答えた人が8割となっている。偶然かもしれないが、富裕層と大企業に勤める人の割合が2割である。ちなみに上級といわれる公務員はその退職金額を考えると富裕層に入ると思われる。先の上場企業の稼ぐ力は円安による影響があるが、輸入品は高くなるので富裕層以外にはマイナス影響となる。所得再分配後の「ジニ係数」は約0.376で格差は大きい部類に入る。日本の場合、高齢者になるとその数値は更に高くなる。

残業の話に戻ると、短時間で成果をあげれば生産性は高くなり実質賃金は高くなるのであるが、強制的時間量削減と生産性向上は必ずしも一致しない。日本は正社員を減らすだけでなく、非正規雇用を増やし人件費を削減してきた。その過程で業務の属人化は進み、管理者はプレイングマネージャー(殆どがプレーヤー)となった。業務の生産性向上を行うには高いマネジメント・スキルが求められるが容易ではないだろう。単に時間を削ればむしろアウトプットの品質が落ち、品質コストが高まり、生産性は落ちる可能性がある。

暗い話が続いたが何か対策を考えないといけない。政府は副業を推進している(私の感覚では海外では副業は一般的だと思う)。所得が増えない、所得税も増えないとなると、とにかく何でもいいから働いてくれないと困る。また政府は雇用延長をすすめている。年金も下がっていくので働かないといけない、働いて欲しい。そこでマルチジョブだ。

クラウドの時代である。多様な機会から自分のスタイルにあったジョブをシスティマティックに獲得していく。多様な機会は別の意味で能力を開発し仕事スキルを洗練化させる。8割の人がクラウド型ワーク社会を創っていく時代になるのではないか。

執筆:宮川 雅明

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