労働市場が変化している~労働プラットフォームの登場~

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2018年08月20日

■ 自由な取引の場としての市場

個人がものやサービスを売ったり買ったりすることは、非効率だし情報格差が生じやすいことで、市場が生み出されてきました。そもそも一対一で行われる物々交換の場合、欲しいものと提供するものが同じ価値かを判断することの難しさがあります。極端な損得や犯罪行為すれすれという事態が発生しかねません。必要な情報を標準化して提示することは市場が活況になる条件です。株式の売買がその代表で、多くの人が集う証券市場があることで需要と供給がバランスして取引が成立します。もの・サービスの交換の場は、どんどん自由に機動的で使いやすくなっています。しかしヒトに関する市場としての労働市場は、まだまだ閉鎖的で、労使双方にとって使い勝手が良いものではありません。それというのも、職業紹介を行う機能がまだまだ自由化されていないからだといわれます。

■ 市場ってなんだっけ

幼い頃、「ジャックと豆の木」という話がお気に入りでした。豆の木が一晩で成長し、天空の巨人の国に向かった冒険は胸を高鳴らせるものでした。物語は、乳を出さなくなった牝牛を市場へ売りに行くところから始まります。道中で大切な牛と魔法の豆と交換し、喜び勇んで家に帰ったところ、母親は激怒し豆を庭に捨てます。翌朝起きると天空に向かう豆の木が...。きりがないのでこれくらいにしましょう。いまの時代、ジャックが牛を売るなら、アプリ機動、多少盛ってパシャ。乳が出にくいという瑕疵を含めてスペックを記入しポチッ。瞬時に希望する人から応札があり成約。入金確認できれば、集荷をお願いしておしまい。非常に簡単です。ただジャックと母親が長く一緒にいた牛との別れを悲しむ間もないし、豆を手に入れることもないので冒険は始まりません。いまは、おとぎ話も生まれない時代なのです。

市場はものを売ったり買ったり交換する場所で、直接出向く必要があるという前提です。四日市や廿日市、八日市などの地名は、期日毎あるいは日付のついた日に市場が催されたことに由来することや、時の権力者の許可がなければ市場を開催できないし、自由に集まることが出来なかったと社会で習いました。コンビニやスーパーマーケットが24時間オープンしている現代にあって、常に開かれていない市場を想像することが難しくなっています。とくにインターネットの発展で、市場はまさに眠りません。従来の商慣行が変化しています。町から本屋がどんどん減少しています。少し前まで本を手に入れるには本屋で注文をするしか方法がありませんでした。Amazon等のアプリを利用すれば、どこででも購入することが出来ます。必要としている人に必要としているものを提供するバーチャル市場があり、現実の店が減少しています。米トイザらスが経営破綻したのも同じことでしょう。

■ 労働市場というもの

学生ならびに中途採用についても非常にタイトな状況が続いています。指標として有名な有効求人倍率は、統計を取って以来の高い指標となっています。経済が好況を示していることを示しているといいます。数値が悪化すると経済状態が悪いことの証となり、経済運営の重要な指標です。そもそも人には職業選択の自由の原則があります。どのような仕事をどこでどのようにするのかは本人に委ねられています。ただ本人が理解しないところで劣悪な環境や条件で働いてしまうことは避けなければなりません。また中間搾取は人身売買につながることから禁止されています。そこで職業紹介事業を民間が行う場合には、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。職業紹介や有料で職業紹介を行う場合には求人者から受け取る手数料についても規制されています。その意味では、労働市場は官製のもので自由というわけではありません。

■ 労働市場の変化に備える

日本の労働市場は、働き方改革の時代の中で硬直化していると言われてきました。長時間労働を認める社会風土や、解雇や人材紹介が制限されているなどがあげられます。古い常識を打ち破らなければ、これからの時代に立ち向かえないのではないかという声も聞かれます。人手不足であることからも、人材紹介は活況を呈しています。人材紹介料は、相場的には年収の30%から40%となっています。また応募者にとっても会社の知りたい情報がないことから、すぐ辞めてしまうなどの不具合が生じています。経費抑制ならびに必要な人・職場と出会いたいという要望があります。仕事を探す者と募集する者が採用市場を通じて、マッチングするプラットフォームは、他のマッチングプラットフォームの仕組みを応用すればすぐにでも組み立てられます。すでに運用を始めているサービスもあります。

労働市場は法律など規制ががんじがらめに関わっているので、今日明日すぐに変わることはありませんが、数年後には徐々に自由化されていくことは明らかです。そうなると応募者を選ぶだけではなく、応募者から選ばれる存在になる必要があります。市場で魅力ある存在となるための準備が求められています。

執筆:人事コンサルタント / コンソリューション
廣岡 久生

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