流行とAI

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  • 人工知能(AI)
  • 宮川雅明

2019年01月25日

インフルエンザが流行っている。マーケティングにも流行はある。本来は社会学といったほうがよいかもしれない。

19世紀のフランスで感染理論というのが生まれる。群集心理における人間生来の模倣性と指摘している。誰かがスマホでマンガを読んでいると、ブルートゥースで音楽を聴いていると、真似したくなる。自分もやってみよう(経験)と思う。最初に始めた人はイノベーターという。次いでアーリーアダプター、アーリーマジョリティ(Bridge Peopleという言い方があるが私はこちらの言い方のほうが好きだ)、レイトマジョリティそして最後までやらない人をラガード(遅滞者)という。イノベーター理論である。

模倣というのは群集におけるある種の暗示的高揚感から生まれるものであるので「感染」といった。しかし、流行っているから「嫌だ」という心理も働く。マーケティングでは前者をバンドワゴン効果、後者をスノッブ効果という。スノッブ効果はある種の差別化といってもよい。こうした現象は消費文化が成熟すると、個人の購買に対するアイデンティティが成熟することで、単なるセグメント別の差別化から、多様化されたグループへと再分化され、最終的には個人にいきつくのだろう。そういう意味では、ラガードの人達はそれなりの理由もあるかもしれないので、今はImmobility(不動)という言い方のほうがいいかもしれない。

高揚感、昂進という点で似たようなものとして、経済現象としてのバブルがある。バブルはEuphoria(陶酔的熱病)ともいう。中世オランダでチューリップバブルが起こり、日本では明治期にうさぎバブルが起きた。余りに熱中(適正水準を大幅に超えてしまった)しているので課税したところ、翌日にはウサギ鍋が振る舞われたという話がある。

やはり人というのは真似る遺伝子をもっているもので、それが人を社会性なるものにしているのかもしれない。

そこで楽しみなのが、デジタル・マーケティングでありAIである。これはライフサイクルや流行といった概念を進化(破壊と創造)させ、人の社会性を変えてしまう可能性がある。個人秘書のようなもので、未知なるものをレコメンドしてくれる。これは口コミとはちょっと違う。口コミというシンプルなミーム(トレンドをベースにした推測)を超えたマイブームの創造で、進化するレコメンデーション、真に進化するミーム(個人の文化やスタイルを形成する情報)といえる。ここまでくると人より寄り添ってくれる存在になる。中国ではAI(対話型チャットボット)と結婚したいという若者がいるのも頷ける。

最終的には、個人が自身のアイデンティティをしっかりと形成し続けていくことがAIと楽しく付き合っていく上で重要なのだろう。これはどのように技術や文化が進化しても変わらないものだ。

気づいていないものを教えてくれる。しかし、本当に気まぐれで複雑な人間を楽しませてくれるものが出てくるものか、もう少し長生きしたいものだ。

執筆:宮川 雅明

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