正しい目標管理(12)目標設定のフォロー #4

マネジメントシステム 人事コンサル 正しい目標管理シリーズ 髙橋宏誠

前回、一般社員から課長になる際、その役割には、スキル、タイムマネジメント、そして職務意識において質的な変化があると述べました。そして、その質的な変化は、3つのポイントに要約することができるとし、「ポイント1:仕事の定義とアサインメント」、「ポイント2:部下に対する指導・支援」について述べました。3番目は関係構築です。

● ポイント3:関係構築
関係構築のためのスキル自体も大切ですが、重要なのは意識の変化です。一般社員はチームメンバーとしての仕事が要求される場合もありますが、かなり独立して仕事をする自由があります。一方、管理職、特に課長は相互に依存しています。そこで、組織としての関係構築が求められます。他部門・顧客・納入業者との信頼関係を築き、縦横にコミュニケーションのレールを敷かなければなりません。具体的には、以下の通りです。

① 上司
一般社員の時には対峙していた経営組織側のメンバーとして、部下の管理と規律の維持を共に遂行することになります。また、他方では、部下を取りまとめて、課というチームとして上司と関わることになります。

② 直属の部下
相互に尊敬しあい、支援し合う関係を築くことが必要です。そして、部下の成功に責任を持つ必要が出てきます。ただし、人を操作したりする課長は部下と建設的な関係を築くことはできないものです。部下一人ひとりに対して個人的にというより、部下全員を含むチームとしての成功を達成することが求められるのです。

③ 納入業者、顧客、その他の関係者
課の利益と成果のために関係を構築し、コミュニケーションの時間を取ることが求められます。

以上、一般社員から課長になる際、その役割における質的な変化について述べました。今度は、課長がその役割を果たせず、組織としての成果が出ない原因を説明します。これまでの私の経験からすれば、先ほど述べた三つのポイントのほぼ裏返しとなっているように思います。

4.課長がその役割を果たせず、組織としての成果が出ない原因
1)権限委譲がうまくいっていない
たいていの課長は自分自身で業務を引き受けすぎるため、常に焦りながら仕事を行っています。そして、「やらなければならないことが多いのに、仕事を任せられる有能な部下がいない」と文句を言うことになります。それだけではなく、権限委譲の方法が不適切で、部下に任せっきりの場合もあります。

2)部下の管理ができていない
「部下が何をやっているかわからない」「部下にいうべきことを言えない」といった事態が生じています。直属の部下と建設的なコミュニケーションをとれていない状況です。

3)強いチームを構築できていない(個人プレイヤーが多い)
直属の部下をチームメンバーとして組織化しないまま、個人として扱って仕事をしてしまっている場合です。こうした態度は、気づかないうちに部下の自己本位な思考や態度を作り出し、チームで情報やアイデアを共有することによって得られるシナジー効果を妨げてしまいます。

4)仕事を成し遂げることのみを考えてしまっている
管理職としてのスキルを活用する能力があまりない場合です。一般社員の意識で仕事をし、部下のコーチングや自らの管理能力開発という役割を理解していません。そして、多くの場合、組織文化の問題にまで思いが至らないか、関心を示しません。

5)自分の好みで主任を選んでしまっている
選抜のためのスキルを鍛えていないため、自分によく似た人を選ぶ傾向があります。このようにして選ばれた部下は、多くの場合、上司に挑戦しようとはせず、仕事に新鮮な見方をもたらすことはありません。そして、これは人材の多様性を欠く原因になるだけでなく、管理職に必要な資質を持たない人が多くなり、望ましい管理職のパイプラインはできなくなってしまいます。

このようなことにならないために、まずは、部下への指導と支援の方法について十分に習得しておく必要があります。次回は、部下への指導と支援のやり方についてポイントを述べます。

執筆:髙橋 宏誠

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