MBAを学ぶ理由:修士論文の価値

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修士論文。

MBAのような実務家養成プログラムでは、その必要性が議論されることがしばしばあります。大学院といえば論文は当たり前と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。

2003年、文部科学省は従来の大学院研究課程とは別に、企業経営や会計、法務などの実務家を養成する「専門職大学院」の制度をつくりました。専門職大学院は、授業の履修および知識習得に重きを置く性質上、修士論文の提出がなくとも専門職学位の授与が可能です。2018年5月時点で国公立・私立・株式会社立大学の全分野総計で119大学が専門職大学院として学位を発行しています。

もちろん、専門職大学院の設置基準の中には、従来の研究成果重視での大学院では見られなかった「第三者機関による定期的な評価」の義務づけがうたわれており、修士論文を執筆しなくともその教育の質が一定レベルに達するよう意図されています。修士論文作成という一定の研究成果を要求するか否かは、大学の方針に一任されているため、国内外を問わず、修士論文をMBA授業科目の必修科目に位置づけているほうが、実は少ないです。

ヒューマンアカデミービジネススクール(HABS)では、修士論文を学位認定の必修科目としています。その理由は、一言で言ってしまえば「ビジネススクールで学生が鍛えられる最良のメソッドのひとつ」だからです。ひょっとしたら論文不要をうたっている実務家養成プログラムでも、本当は修士論文を課したいのがスクールの本音ではないか、と思ってしまうぐらい、論文執筆には教育的意義があります。

自分でテーマを設定し、専門書を読み込み、フィールドワークを行ない、数十ページから百ページを超える論文を執筆する過程で、論理的にものを考え、自分の主張を練り上げ、事実で証明し、自らの言葉で明晰に表現するなどの力が磨かれます。ビジネススクールは本来、次世代リーダー候補生を鍛えるために、徹底的に「考える」訓練を行なう場であるはずです。経営者を目指すなら、潮流を読み解き、本質を見抜き、どのような舵取りをすべきかを熟慮しなければなりません。悩み、もがき、苦しむ過程を経て、自分なりの答えを導き出すーーー論文執筆は、この「深く考える」ことの疑似体験です。データ分析で現状を理解したり、フレームワークを使って情報を整理するなど、ビジネススクールで学んでいることは、「深く考える」ための「前作業」です。

さらにHABSでは、修士論文に対して、自社上層部へ向けた「建議書」を想定し、アカデミックで学術的であることは当然ながら、それだけにとどまることなく、各自が所属している組織(あるいは未来所属する組織)できっちり実行でき、役立つことが何よりも重要であるとしています。したがって評価基準には、① 所属する組織で役に立つ結論を導出していること、② その結論の導出過程に説得力があること、の2点が含まれます。このいずれの要件が欠けてもHABS UWTSD MBAプログラムの修士論文としては不十分であり、この双方を満たすように指導教員や学生相互のディスカッションが繰り広げられ、最終的に提出可能な修士論文の執筆を目指します。

一方で、論文執筆をきちんと指導しようとすれば、教員にかかる負荷は小さくありません。学生と1対1で向き合い、家庭教師さながらの指導をする必要があるので、手間がかかります。HABSで100人を超える学生の論文執筆指導をしてきた教員によると、「今でも誰がどのような内容の論文を書いたのか全部言える。」そうです。2年間の訓練の仕上げですから、学生にとっても教員にとってもそう簡単なものではないことは自明です。「必要な単位数さえ取れば必ず卒業できる」だけのMBAに本当に価値があるのだろうか、と、既に多くの企業、MBAを取得した本人・取得しようとしている本人やその周辺の人たちも、気づいているのではないでしょうか。

文責:HABSパブリッシング

■ 修士論文の価値

1)論理的に物事を考える力を身につけるため
日頃、論理的に物事を考えていたり話をしたりしているように思っていても、文字にしてみると、以外と論理が飛躍していたり、独りよがりになっている場合があります。自らの主張に説得力をもたらすためには、論理(ロジック)と証拠(エビデンス)が必要になります。自らの考えを文字にすることで、論理の妥当性や証拠の適切さが十分であるかどうかが明確になります。きちんとした文章を書くことで、説得力がある論理と証拠を提案できる能力を養うことができます。

2)相手に伝えるスキルを身につけるため
自分の考えを、相手に対して分かりやすく、かつ説得力を持って伝えることは非常に難しいものです。プレゼンテーション等で慣れている人もいるかも知れません。しかし、口頭では分かったように思えても、文章にしてみると以外と分かりづらいということはあります。逆に、文章で分かりやすければ、それを口頭で伝えてもよく伝わります。相手に明確に説得力を持って伝えるためには、相応の工夫が必要で、そのためのスキルを身につけなければなりません。論文執筆プロセスにおいてそのようなスキルを身につけることができれば、文章だけでなく口頭によるプレゼンテーションにおいても、明確で説得力があるものと提示することができるようになるでしょう。

3)具体的な事例から抽象レベルが高い法則(新しい概念・理論など)を導き出す力を養うため
いくら多くの経験をしたとしても、そこから学習しなければ、新たな事態に対処することはできません。学習するということは、個別具体の事例から他の場面でも通じる可能性が高い抽象的な法則を導き出すことです。そうすることで、新たな事態に対応することができるようになります。学術論文は、まさしく、個別具体の事例から抽象的な概念や概念間の関係を導き出す作業です。学術論文を執筆することでそのような能力を身につけることができれば、職場において学習能力が高い人材として力を発揮することができるようになるでしょう。

石川 淳
HABS UWTSD MBAプログラム
組織およびHRマネジメント
Organisation and Human Resource Management


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