正しい目標管理(14)目標設定に関するQ&A #1

マネジメントシステム 人事コンサル 正しい目標管理シリーズ 髙橋宏誠

19.目標設定に関するQ&A

今回は、目標設定に関するQ&Aを扱います。

 Q1  どうすれば、目標を「押し付け」にせず、部下の自主性やチャレンジ精神を引き出すことができるでしょうか?

トップダウンによる目標の連鎖、ブレークダウンがあり、押し付け的な目標となってしまう場合があります。また、設定された目標が高すぎる、と部下が不満を訴えてくる場合もあるでしょう。考えるべきポイントは以下の通りいくつかあります。

1.部下の主体性、チャレンジ精神を発揮できる余地を残し、上司の期待を明確にする。
具体的には、部・課の戦略、方針、ビジョン、などを共有することです。つまり、課(組織)の目標の検討会議の中で、部下から自由に問題提起をしてもらいます。その上で、上司の期待のよりどころを伝え、その枠内で目標を考えてもらうと高い目標になりやすいものです。たとえば、「業務フローを変更することによってコストを大幅に引き下げるとか工数を減少させるような目標を考えてください」という期待を投げかけます。

2.目標を練る十分な熟成期間を設ける。
大手電子部品メーカーA社では、目標設定準備に期間を3週間とることにしています。A社の課長によれば、「3週間もあると、部下はいろいろ思案できるようだ。最初に温めた業務改善の目標も3週間もあれば、さまざまな角度から見直しができる、それにより部下の「目標の腹積もり」も固まってくる。」とのことです。

3.面談では、部下に先に目標を提示してもらい、目標達成のプロセスでは、部下に完全な裁量を与える。
目標管理の提唱者であるドラッカーの考え方として、自己統制ということがあります。この考え方を尊重している欧米企業では、達成計画の立案・決定については部下本人に完全に委ねており、目標のみを面接での合意事項としています。達成計画については本人の自由裁量に委ね、部下の自主性発揮を促進しているのです。

 Q2  多忙な業務の中で、目標管理をきちんと実施するにはどうしたらよいでしょうか?

目標管理を導入すると、必ず生じる問題に業務の拡大があります。なぜなら目標設定・評価の面談を新たに実施したり、目標共有化のための会議の回数が増えるからです。このように、マネジメント活動はかなり増加すると感じられるものです。 

従来からこうしたマネジメントをしていた課長にとってみれば、仕事は何ら変わることはなく、自らが実施してきたことが組織として制度化されるだけです。ところが、今まで行ってこなかった課長にとっては相当な負担になります。そのような場合にはどう対処したらよいでしょうか?3つのポイントがあります。

● ポイント1:管理職と部下双方が目標管理導入のメリットを確かめ合う
● ポイント2:管理職の負担感を軽減する
● ポイント3:部下の負担感をも軽減する

それぞれ説明していきます。

1.管理職と部下双方が目標管理導入のメリットを確かめ合う

「管理職と部下双方が目標管理導入のメリットを確かめ合う」とはどういうことでしょうか。実際に、目標管理の導入メリットを考えてみると、

1)部下の立場
目標を明確にすることで業務の重点化ができ、何をすればよいかが明確になります。また、面談を実施することでコミュニケーションの場ができ、上司・部下、相互の考えをよりよく理解できます。そして、面談を通じて自らの能力アップが可能となり、上司による公正な評価により、職務満足度が向上します。最終的に、実力に応じた処遇(給与、昇級)を受けられるということになります。

2)管理職の立場
自らのマネジメント力を向上できる結果、組織の成果が高まり、自らの処遇のアップにつながります。明確な評価基準を設定することで、納得性が高い評価をすることができるようになります。その結果、部下との信頼関係が深まります。
 
残る2つのポイントは次回に譲りたいと思います。

執筆:髙橋 宏誠

関連するコラム

テーマ