【セミナーレポート】「企業環境の進展とMBAの役割」

ヒューマンアカデミービジネススクール(HABS)は、MBA取得を検討する方々を対象にセミナーを開催しました。慶應義塾大学名誉教授でありHABS顧問を務める池尾恭一が登壇した今回のテーマは、「企業環境の進展とMBAの役割」。企業を取り巻く環境がどのように変化しているのか。なぜ今MBAが求められるのか。実例を用いながらのレクチャーの一部をお届けします。

セミナー#1.jpg

MBAの歴史

MBAが誕生したのは、19世紀末のアメリカ。第二次産業革命において大量生産を進めるためには大規模な先行投資が必要でした。資金を集めるには専門的な経営の知識が不可欠。そこで専門職としての経営者を育てる必要性が高まり、MBAが誕生しました。

その後、MBAが日本に広がるきっかけになったのは、朝鮮戦争でした。朝鮮戦争においてアメリカからフィリピンに兵士として赴いていた民間兵に対し、徴兵後の教育機関としてハーバード・ビジネス・スクールの分校が設置されました。そこで学んだ人が日本へ渡り導入を進め、慶應大学に日本初のMBAが誕生するのです。

企業環境の急激な変化

アメリカと同様に、日本も第二次産業革命で大躍進を遂げました。その背景にあったのは、国内市場の大きさです。大量生産、大量流通、大量消費の風潮の中、流通網を囲い込み企業名というブランドを武器に連続的に新製品を投入する、という囲い込み型の日本型マーケティングが発達していきました。

しかし、現在はそうはいきません。差別化を図り個々のニーズを正確に把握し、開発スピードを上げていく必要があります。また、人口減少に伴い国内市場は縮小の一途。海外依存度を高めていかざるを得ない状況です。では、日本の製品はすぐに海外に通用するのかといえば、ここにも壁があります。

セミナー#2.JPG

新興国の進展

世界のGDPに占める新興国・途上国の割合は高まり続けています。為替レートで測る名目GDPでいえば先進国の割合が上回っているものの、購買力平価でいえば既に新興国・途上国が先進国を上回っています。日本企業もアジアを始めとする新興国への進出を進めていますが、そう簡単にはいきません。経済水準の差がある人々に対して、日本と同様の品質と価格、売り方は通用しません。今、求められているのは、新しいものを創るイノベーションよりも、資源とコストを下げて最大の利益を求める、「フルーガル・イノベーション」です。しかし、日本は先進国、もしくは新興国のハイエンドに対するノウハウしかなく、新たな需要への対応においては世界に後れをとっています。

セミナー#3.JPG

今求められる力とMBA

こうした状況下で今求められているのは、独自性とそれを生み出すための知恵です。知恵とは考える力であり、社会の仕組みや動きを理解し見通す力、スタンダードと独創性のバランスを見極める目でもあります。それらを磨くには、ケースメソッドが有効です。一般的に成り立つ事象と、個別ケースでしか成り立たない事象の理解を通して相対感覚を身につけることは、条件や国の違いを超えた一般的な理解をも促します。MBAにおいては多くのケースメソッドを用いて考える力を養っていきます。つまり、MBAは最終的な帰着点ではなく、そこで培った力を生かして卒業後も考え続けていくための出発点なのです。

一覧へ戻る

HABSとは

top