【新規事業開発】現場視点の新ビジネスを生み出す

会社の業態:電気に関する設備類の保全や検査
会社の規模:従業員500人~1,000人未満
ご担当者:人事部 部長様

業績、シェアが低下する中、現場視点の新ビジネスを生み出したい!

当社の業務は、ビルや住宅の電気設備の点検、検査。社員の多くは電気主任技術者の資格を持ち、現場で作業を行っています。営業部隊がいるわけではなく、既存の取引先からの依頼に応える形で、企業や住宅を訪問します。最近は、ビル管理関係、エレベーター関係、自然エネルギーサービス関係などの業界から市場に参入する競合も増えてきました。また、IoTやトータルエネルギー管理という観点から家電業界もライバルになりそうな状況です。

■課題・背景

現場の社員に危機感が共有されていなかった

最大の経営課題は業績の低下。微減ではありますが、着実に落ち続けています。さらに問題なのは、この危機感を会社全体で共有されていないことでした。現場の技術 者は、電気のエキスパートとして誇りを持って働いていますが、価格競争などについては関心がありません。また、市場の変化についても"自分事"とはとらえておらず 、経営陣との間にギャップがありました。

かつては相当の市場シェアを有していましたが、ゆっくりと、しかし確実に低下しており、何もしなければジリ貧になってしまう。経営的に新規事業の創出は不可欠で した。当社の強みは、何より「技術者が日々現場を回っていること」。これを生かそうと考えました。ただ、これまでマーケティングや事業戦略とはあまり縁のなかった技術者が手探りで事業開発を行うのは難しい。そこで、専門家の力を借りることにしたのです。

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■提案プロセス・実施施策

座学ばかりでなく、屋外でのリサーチ活動も重視

新規事業開発のワークショップの参加対象は、主に課長クラス以上の技術者。50歳前後が中心です。ファシリテーターとなった講師が彼らにまず話したのが、「世の中の動きを知ること」の重要性でした。経済紙やビジネス誌も漫然と読むのではなく、自分たちの仕事や会社との関連性を考える。また、現在の社会の動きを戦略的視点でとらえる。そうした姿勢が新しいビジネスを生み出すには欠かせないという指摘でした。

具体的な研修期間は、約10ヶ月。前半はマーケティングや財務など新規事業を考える上で必要な知識を身に付けます。毎月2日間、各拠点から参加者が集まり、初日は理論の学習、2日目は最近のニュースの事例研究というスタイルで行いました。ここで第一に重視したのは、技術者が新規事業というテーマに対して共通のマインドと言語を持つことです。

そして後半は、新規事業のアイデア出しとその具体化。ここでは、屋外でのリサーチ活動もかなり行いました。普段から外に出ている技術者なので、地域についてはよく知っていますし、もともと情報に基づいて論理的に考えるのは得意な人間が多い。この現場リサーチは非常に有効でした。講師からも、「エスノグラフィー」(現場観察)のポイントについて随所でアドバイスをもらいました。

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■成果

ベテラン社員の発想力、創造性の豊かさに気づかされた

ワークショップの最大の収穫は、自社のコンピタンスが単に「電気設備の検査をすること」ではなく、「地域の安全を守ること」だと技術者らが気づいたことです。これによって、新ビジネスのアイデアがスムーズに出されるようになりました。講師からの「新規事業のポイントは、時代のニーズや追い風に乗っているか、自社の強みを活かすか、この2つ」という言葉も頼りにして、積極的な議論が行われました。

結果、高齢者向けサービス、防犯サービスの2つが事業化に向け動いています。高齢者向けサービスでは、当社の技術者が対象者に声掛けもできるし、電気の使用状況でチェックもできる。防犯については、防犯カメラや自動照明の設置を行っており、これらはお手の物です。いずれも「現場を回っている」という私たちの強みを生かした事業といえます。

そしてもう一つ、ワークショップを通じて感じたのは、40代、50代の社員の発想の豊かさや創造性の高さです。新規事業開発というと若手のイメージがありますが、まさに現場でいろいろな経験を積んできたベテランのアイデアはとても現実的で質の高いことに気づかされました。

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■参加者の声

「最初は、既存顧客に対してソーラーパネルやスプリンクラーを販売するアイデアもありましたが、"それは誰でも考える。競合もいる"ということで、我々のコア・コンピタンスが活かせる事業を検討することになりました。これまでにない経験で、自然とワクワク感がわいてきたことを覚えています。アイデアが具体的になってくると、講師の先生から「誰がお金を出すのか、継続できる事業なのか、強みが発揮されるのか、機能的ベネフィットは何か、市場規模はどれくらいか、ペルソナ顧客は誰か」一つ一つ問いかけられ、それに答えるのがとにかく大変でした。それでも、チームでの最終発表が近づくと、自主的に集まって企画検討を繰り返していましたね。すでに、防犯サービスで実績が出始めています。最初のお客様は地元の飲食店で、隣接する駐車場が「夜になると暗い」と感じてアプローチしたのです。結果、防犯カメラや照明を取り付けさせていただきました。一つ成果が出ると、次へという気持ちも生まれてくる。開拓は地道ですが、既存事業の方にも効果が出てきたように思います。常に、明るく元気で、一緒に議論し、外回りをしていただいた講師にはとても感謝しています。」(電気技術者主任 50代)

■この事例で取り入れた研修メニュー

#マーケティング #ビジネスモデル #財務 #事業計画

■キーワード

#戦略 #ワークショップ #マーケティング

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