【リスクマネジメント】リスクマネジメントで営業部門の生産性改革

会社の業態:建材や建装の製造及び販売
会社の規模:従業員1,000人以上
ご担当者:営業担当役員様

リスクマネジメントで営業部門の生産性改革

当社は内装関係の建材の製造販売を手掛けています。景気の波はあるものの、オフィス街の再開発、中古物件などのリフォーム、海外での不動産建築など、成長チャンスには事欠きません。ただし好機を掴むには、より高い要求に応えられる体制構築が不可欠。そこで営業は顧客と現場を取り持ち、円滑にプロジェクトを進める重要なポジションとなっています。複数の案件が同時進行しているので忙しく、そこそこに残業も多い。働き方の改善も含めて、仕事の質を高める方法を模索していました。

■課題・背景

目の前の仕事に追われ、ミスを誘発しかねない

取り扱う製品はドアや窓、床材や壁紙など多岐にわたります。納品にあたっては本体工事の進捗状況に合わせて順序よく、その都度必要な部材を納める機転が求められます。早く納めすぎると、先方の資材管理の手間が増え、製品が劣化する可能性も出てきます。そのため営業は適切なタイミングで部材が送られているかどうかを常にチェックしています。

しかしビルやマンションなどの建設は、急に納品日が早まったり、大幅に遅れることもあります。そうなれば製造ラインのスケジュールの引き直しなどにも営業部員が加わります。加えて最近はデザインに独自性を求めるお客様が増え、標準品に手を加えることが多くなっていますが、社内の設計部門を通すと時間がかかるため、簡単なものは営業が図面を引きます。

つまり、営業といいながら、納品管理や社内外の調整、簡単な図面製作など複数の業務を並行してこなしており、常に目の前の業務に追われている状態。このままだと確認モレ、高コスト、やり直しなどのロスをもたらしかねないと危機感を強めていました。

10_1AdobeStock_164771553.jpeg

■提案プロセス・実施施策

「顧客の優劣」ではなく、「リスクの優劣」をつける

先生からご提案いただいたのは、リスクマネジメントの手法によって業務を効率化するワークショップです。リスクマネジメントというとコンプライアンスなどを連想しますが、実際にやったことは営業における「プロセスの視覚化」と「発生リスクの予測」、そして「金額化」です。まさに現場に即した取り組みでした。

まずは受注から納品にいたるプロセスを整理し、業務の標準化に取り組みます。進捗状況を「見積もり段階」「初期仕様確認段階」などに区切り、一覧できるように図で整理。こうやって標準化したプロセスに実際の案件を落とし込んでいくと、担当者以外の人間も何が起きているのかを把握できます。

次に各人が担当している案件にどのようなリスクがあるのかを列挙し、その優劣をつける作業を進めていきました。しかし、従来はどの案件も同じように緊急度を区別せずに仕事をしていたので、優先順位のつけ方がわからない。ここで「リスクエクスポージャー」という手法が役立ちました。

リスクエクスポージャーはリスクの発生確率と影響額から算出する指標です。仮に1億円の案件でリスク発生確率が30%とすればリスクエクスポージャーは3,000万円、1,000万円の案件のリスク発生確率が80%とすれば800万円となります。つまり、起こる確率は低いものの会社への影響が大きいのは前者といえます。影響度合いを比較すれば、忙しいときにも「何をどう優先すべきか」は明確。慎重を期すべき案件に注力できます。

10_2AdobeStock_71625279.jpeg

■成果

全社員が同じ物差しで行動できる

何を優先すべきかを考える物差しを得たことで、明らかにミスや調整のためのゴタゴタが減りました。また各案件の進捗状況やリスクを一覧表にしたことも業務改善に効いています。残されたプロセスが目の前に示されると、「次に何をすべきか」を意識しやすく、緊張感が生まれます。また、マネジメント層も同じ一覧表を共有することで各案件の進捗度合いを把握できるようになりました。トラブルになりそうな場合は事前にアドバイスしたり、協力体制の段取りをつけるなど、チームで働く環境が整ってきています。

最大の収穫は、新入社員から幹部まで全社員が、業務に対して共通の意識を持てたことです。講師の先生は「全社員のすべての行動や選択にリスクは存在する」と話していましたが、まさに営業の業務は相互に関わり合っており、誰かがリスクが見落とせば、その影響は全体に波及する可能性があります。今回の研修を通じて若手社員を含め、共通の行動様式、考え方の物差しを持てたことは、単なる業務改善を超えて、マネジメントにおいても重要な意味があったと感じています。

10_3AdobeStock_117687726.jpeg

■参加者の声

「まず、会議が減りました。今までの営業会議は、情報交換などに終始し、マーケティングや競合対策などの議論はできていませんでした。しかし一覧表を整理したことで情報共有は前提として営業会議に入れるので、より重要なテーマに時間を割けています。また、「リスク保有」の考え方も参考になりました。顕在化しにくいリスクはあえて対策しないというものです。完璧にリスクをなくそうとする発想は危険です。時間や人的資源は無限ではありませんから、何を優先すべきかの選択が重要。その点でリスクマネジメントは、成長に必要なことを大局的な視点から考える手がかりになると思います。」(グループ長兼営業課長 40代)

■この事例で取り入れた研修メニュー

#リスクマネジメント #業務分析

■キーワード

#リスクマネジメント #業務改善 #ワークショップ #マーケティング

一覧へ戻る

HABSとは

top