【業務改善・生産性向上】思考と作業を分離し創造型業務の質とスピードを上げる

会社の業態:機械開発・設計、保守メンテナンス業
従業員:従業員1,000人以上
担当者:人事部 人事課 課長様

思考と作業を分離し創造型業務の質とスピードを上げる

当社は産業用機械、ロボットなど開発・設計、保守メンテナンス業などを展開している組織です。主な取引先は、受注先も保守メンテナンス先もグループ企業(親会社)がほとんどを占めています。そのため、短期的に見れば売上の見込みが立ちやすく、比較的安定した経営環境にあるといえます。そのためおっとりとした人材が多いのも特徴です。また典型的なエンジニア集団でもあり、いい意味で技術者としての誇りを持つ人材が多い一方で、商売・マーケティング感覚に疎いというのも特徴です。

 課題・背景 

■ エンジニアのプライドが災い

前出の通り、経営環境にあってエンジニア集団である当社は、組織的な課題認識として、従前から以下の点があげられていました。それは、全体的に技術オリエンテッドの志向が強く、良い技術を駆使して良いモノを創り出すことが常に「是」とされる傾向があり、どの職種、どのプロセスにおいて多大な時間をかけ、スピード意識とコスト意識に欠ける点です。

これらの意識はいわば風土ともいえますが、例えば海外展開(特に東南アジア)に軸足を置いた時期には災いしたといえます。東南アジアの市場ではそれほど技術的に精度の高い製品は求められていない一方で、意思決定と納期はスピードが求められるという傾向がありました。しかし当社では、技術的にグレードを下げるようなモノは世に出したくないという技術者のプライドがローテク製品の開発設計を許さず、にも関わらずコスト削減の意識が薄いため、製品としては高価なものにならざるを得ず、結果的にコンペに負けてしまうことが続きました。

もうひとつの大きな課題認識は社員のスピード感の無さです。もともとおっとりした風土ではありますが、社員の高齢化も原因なのかもしれません。当社は機械系エンジニアなので、仕事の経験や場数の蓄積といったものもパフォーマンスを出すひとつの要因となっています。ITエンジニアのように過去の技術や知見がほとんど役に立たず、全く新しい言語や技術を習得しなければならないというものではありません。ベテラン・シニア人材故に戦力として通用することが多いため、現場の平均年齢が高くなる傾向にあります。

当社では、これまでは技術的なスキル研修などは行ってきましたが、上記の課題認識によりコストに関する意識改革や、時間生産性の意識を社員に植え付ける研修が必要なのでは?という議論があがりました。

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 提案プロセス・実施施策 

■ 職場観察によってあぶりだされた課題の本質

講師には、じっくり現場を見ていただくなどして、研修計画・プログラム設計の段階から関わっていただき議論を重ねました。私も講師と一緒に現場を観察し続けると、想定していたものとは違う側面が見えてきました。それは、開発や設計に関わるメンバーの多くの時間は、ドキュメント化業務に費やされているということでした。業務にはざっくりと分けて、「考える業務」と「作業の業務」に分けられます。私は、ドキュメント化業務は作業の業務であり、極論すればマニュアル化してアウトソースできるのでは?と考えていたのですが、実際には作業の業務に考える業務が溶け込み、組み込まれており、作業をしながら考えている時間が圧倒的に多かったのです。また、当社にはベテラン・シニア社員が多いこともあり、エンジニアとは言いながらも実は多くの人材のITリテラシーやPCスキルは決して高くなかったのです。これは意外でした。

つまり現場の観察で判明したことは、考える時間の生産性、言い換えれば思考考自体のスピードは決して遅くないのですが、ドキュメント化する作業時間が遅いということだったのです。具体的には、メールを打ちながら思考し、企画書を描きながら思考し、支持・伝達をする言葉をその場で部下が議事録にし・・・といった具合にほとんどのプロセスでドキュメント化と思考の作業が同時に行われていたのです。改めて考えると当然のことではありますが。

以上のことから、原因は考えるスピードにドキュメント化のスピードが追い付いていないことだと結論付け、考える業務の質と量を上げることを目的に研修を企画しました。講師と相当数の議論を重ねた結果、実施したことは非常にシンプルなのですが、タイピング研修、アプリケーションソフト研修などの提供です。ただ、社員向けには「企画の質を上げる〇〇研修」、「ハイパフォーマのエンジニアが教える裏技テク」のような見せ方・表現にして興味をひくようにしました。さらに通信教育やweb研修を多用して、理解というよりもとにかく実際にキーボードを叩くことを徹底的に進めました。

 成果 

■ 全体のスピードアップとコミュニケーションの活性化
 
背景にあるような意識改革には未だ道半ばではありますが、目に見える成果として、タイピングは格段にスピードアップしました。筋トレのようなもので、いくつになっても筋肉は付くものです。そしてやや極端ですが、これまで「考えるスピード>ドキュメント化するスピード」だったものが、「考えるスピード=ドキュメント化するスピード」に近づいてきました。結果的に業務全体のスピードがあがったのです。「考える業務」への取り掛かるのが早くなったという方が正確かもしれません。おそらくドキュメント化する業務への心理的負荷が極端に低くなったのだと理解しています。考える時間はある程度まとまった時間が必要なため、それまでは日中の細切れになりがちな時間には取り掛からずに、夜の残業時間に回してしまうという例も散見されていましたが、そんな時間の使い方も改善されました。

もうひとつ、大きな変化はコミュニケーションが活性化したことです。当社には以前から社内SNSやイントラ上の提案といったツール・インフラはあったのですが、利用者は若手ばかりでベテラン社員以上の活用頻度は低迷していました。しかし研修が進むにつれて少しずつ活用頻度があがりってきました。逆に社内の電話の頻度が下がりました。例えば、文字でのコミュニケーションが面倒なので電話をするものの不在でつかまらなかったため、コミュニケーションロスが多く生じていたことが多かったものが、業務プロセスとしてもロスが少なく流れるようになりました。副次的な効果ですが、リアルのコミュニケーションも良質になり、活性化してきました。

 参加者の声 

●「自分の考えをまとめるのに、紙に書いてからデジタル化していた。その方が考え方をまとめやすいと思っていた。今はタイピングの方が、考えがまとまる」(シニア社員)
●「ドキュメント化によるコミュニケーションが増えた。相手が本当に理解しているかどうかも手に取るようにわかるようになった。」(設計・中堅社員)
●「組織全体のITリテラシーがあがったように思います。」(若手社員)

 この事例で取り入れた研修メニュー 

#タイピング研修 #各種アプリケーションソフト基礎・応用研修 #ロジカルシンキング研修

 キーワード 

#コミュニケーション #マネジメント #業務改善・業務フロー #思考力 #ITスキル

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