【プレゼンテーション】幹部のリーダーシップを強化する発信力トレーニング

会社の業態:電気系メーカー
従業員:従業員1,000人以上
担当者:事業部 人事責任者様

当社は電気系部品、映像機器系部品などに強みを持つメーカーです。最終製品も手掛けています。これまで独自の技術を生み出し続け、プロダクトアウトの志向が強いメーカーではありますが、一方で市場やマーケティング感覚を持ち合わせた自負があります。そのような技術者も多く、今では業界の中でも一目置かれる存在になってきました。ただ製品のライフサイクルは短くなり、今後も競争優位の源泉である技術を高いレベルで保ち続けられるかどうかは不透明といえます。

 課題・背景 

■ ブランドを守ろうとする姿勢こそ危機

創業者は、世の中に面白いモノを提供しようというベンチャースピリッツの塊のような人物でした。その精神が組織の風土の源泉だといえます。設立当初から今まで、そういう風土を好んで入社を希望する者が集まってきた組織だと自負しています。ただ近年、組織が大きくなるにつれ、悪い意味でのサラリーマン化が進んでいます。係長、課長、部長、事業部長と階層が増えるに従って、社内政治や部署間の軋轢など、従来では考えられなかった組織的課題が増えてきました。

そんな中、現在の経営トップから人事に対して、当社の最大の課題認識は「事業部長、部長層のマネジメントだ」という話がなされました。当社には元々自由な風土がありましたがそれが災いしてか、部長や事業部長になっても、自身のスタイル、やり化を変えないということが代々続いていました。そしていつの間にかマネジメント自体をやらないという状態になっていました。経営理念は浸透しているのですが、マネジメントがほとんど機能していないのです。

その際に実施した組織風土診断でもそれは顕著に現れました。社員の多くは、会社全体の理念に共感し、会社の一員であることに誇りを持っているのですが、一方で、事業やプロジェクトレベルの話になると、「方向性が見えない」「リーダーの顔が見えない」「何をやったらいいのか分からない」という不満を持つ社員が多勢を占めていたのです。プロジェクトの方向性が不明瞭な場合、社員の胸中には会社ブランドへの愛着や今のイメージを体現していこうという積極的な姿勢よりも、現状を維持したいという守りの姿勢が生まれつつあるということも見えてきました。

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 提案プロセス・実施施策 

■ 「技術力」・「理解すること」=「表現すること」

講師・コンサルタントからの指摘は、部長・事業部長層の「発信力」が決定的に足りないというものでした。理解力や技術力、その目利きに優れた人材が幹部になっていることは確かなのですが、その技術をもって「それをこうすべきだ」「私はこうしたい」「事業としての方向性はこうだ」と伝える場も術も持っていないというものでした。
 
欧米のビジネススクールなどでは、「プレゼンテーション」が「内容の理解」と同等に重視されているといわれています。当社では正直なところ、プレゼンテーションはとてもテクニカルなものとして低く見られており、技術を知っている、理解している、駆使していることに比べると全くと言っていいほど重視されていませんでした。
 
そこで、実施したことは、部長・事業部長に対する「発信力トレーニング」です。プレゼンテーションという言葉はステージ・スキルだけのことを喚起させるので、それだけに留まらず、部下の社員たちに対して、自身の想いや事業の方向性をしっかり伝播、浸透させていく一連の全般プロセスのことを「発信」と定義し、その力を養うトレーニングだと位置づけました。具体的には、以下のような3つのフェーズと、それぞれのフェーズをさらに3つのセッションに分け、1年半かけて実施しました。

1.インプット・フェーズ
① 発信力の重要性を認識するセッション
② 他社事例、経営者の思考と行動について
③ リベラルアーツセッション

2.スループット・フェーズ
① 事業ビジョンを構想するセッション
② 考えをまとめるセッション
③ 考えを表出するセッション

3.アウトプット・フェーズ
① 事業部内への方針演説
② 社内報における人物紹介、ビジョン解説(自筆で)
③ 部内キャラバン(方針の説明をして回る)

 成果 

■ 顔が見えるマネジメントへ

本研修の実施後、端的にいえばマネジメントが機能し始めたのが最大の成果です。特に3.のアウトプット・フェーズは、研修というよりもマネジメントの実践でもありましたので、それらを通して、現場の担当者までリーダーの顔が見え、考えを直に聞くという場が生まれたことは非常にインパクトがありました。事実、その後に実施した組織風土診断においても、低かった項目(顔が見えない、方向性が見えない)は格段に向上しました。アウトプット・フェーズのプログラムとは別に、独自にランチョン・ミーティングや、現場と定例的にミーティングを重ねる部長なども出てきました。

副次的な効果として大きかったのは、人選の基準がシフトしたことです。当社では、事業部長が異動や昇格などによってポストを離れる際には、後任の候補者を推薦させるのですが(推薦された者が必ず後任になるわけではありません)、推薦する人材の質が変化してきました。それはマネジメントに求められていることが明確になってきたことでもあると思います。そのことは、やはり被評価者にも伝わるので、部長やその下の課長、係長のレベルまでマネジメントの発揮行動が見て取れるようになってきました。技術力だけでなく発信力も重要なマネジメントスキルなのだということが伝わってきたように感じます。

 参加者の声 

● 発信そのものも自分のスキルになったが、結局は日常的な発言と、ぶれない態度を示すべきだということが再認識された(企画部 部長)
● 自身の考えが伝わっているかどうか、組織診断の結果よりもあえて高めにハードル設定して緊張感をつくるようにしている(技術部 部長)
● 当社の風土は我々がつくっていくものであって、守るものではないと気づいた(技術開発部 部長)

 この事例で取り入れた研修メニュー 

#ロジカルシンキング #キャッチコピー、ロジカルライティング #プレゼンテーション #リベラルアーツ #相互フィードバックとアクションプラン

 キーワード 

#コミュニケーション #マネジメント #発信、プレゼンテーション #組織風土

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